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和食には欠かせない存在である「みそ汁」。発酵食品への関心が高まってはいるものの、なかなか日々の献立において主役になることはありません。
しかし今回紹介する『みそ汁はおかずです』は、そんなみそ汁を一気に主役へ押し上げてしまうレシピ集!! 簡単に作れておなかいっぱいになる“おかず”としてのみそ汁が、79種類も紹介されています。
そのなかにはなんと、ごはんではなくパンに合うものもあるのだとか……。
本書の編集を担当した学研プラスの小林さんと、販売担当の池澤さんに、本書についてくわしくお話を伺いました。
(左から)
学研プラス 趣味・実用コンテンツ事業部 ライフケア実用事業室フーズチーム ディレクター 小林弘美さん
同 マーケティング部 書籍販売室実用書・一般書課 課長代理 池澤庸介さん
――日々の料理において、実は「みそ汁」って一番工夫をしていない料理かもしれないなと思いました。小林さんがみそ汁に着目されたのは、どんな理由からですか?
小林:「飲んでいると癌にかかりにくい」など、みそ汁の健康効果についてはさまざまな研究結果が発表されています。たとえば国立がん研究センターのアンケート調査では、「みそ汁の摂取が多いほど、乳がんにかかりにくい」という結果が報告されています。でも、スープの本がたくさん刊行されているなかで、みそ汁を主役にした本はあまりありません。個人的に「気軽に作れて、材料の組み合わせにもバリエーションがある」というところに可能性を感じていたこともあって、料理研究家の瀬尾幸子さんに打診をしました。
――瀬尾さんにお願いしようと思ったのは、なぜですか?
小林:みそ汁をこよなく愛していて、“毎日作れる料理”を提案している方にお願いしたいと思っていたんです。実際瀬尾さんもみそ汁が大好きで、特に大根と油揚げのみそ汁が子どもの頃からずっと好きなんだそうですよ。
――『みそ汁はおかずです』というストレートなタイトルも、インパクトがありますね。
池澤:このタイトルは、読者の方からも「秀逸だ」と評判ですね。
小林:タイトルを考えていたときに瀬尾さんが「みそ汁はおかずでしょ」「タイトルもそのまんまでいいんじゃない?」とおっしゃって、すぐに決まりました。具が多くて野菜がたくさん食べられて、おなかいっぱいになるから「みそ汁はおかず」なんです。
――なるほど。確かに本書で紹介されているレシピは、具だくさんでおなかも満足しそうです。
小林:実は私は両親が田舎の出身で、具だくさんのみそ汁を食べて育ったんです。なので、実家を出て一人暮らしを始めたとき、定食屋さんで出てきたみそ汁の具がわかめだけだったのには驚きました(笑)。私にとってはみそ汁はおかずのようなものでしたけれど、そうじゃないことも多いんだという体験は、本書を作るうえでもベースになっています。
――“レシピ本としてのこだわり”はありますか?
小林:写真をたくさん使って、とにかく「見るだけで作れる」ことを重視しました。ポイントとなる工程だけでなく、材料から完成までのすべての過程を写真で見せて、どのレシピも「切る」「煮る」「みそを溶く」の3ステップで作れるということがしっかり伝わるように工夫しています。みそ汁は簡単に作れて健康にいいし、タイトルのとおり“おかず”になります。なので、若い方にも自分で調理してほしいという思いが瀬尾さんにも私にもありました。
――このレシピを知れば、「どんなみそを使えばいいの?」「出汁をとるのって大変そう……」というイメージが払拭されそうですね。
小林:もちろんちゃんと出汁をとったほうがおいしいですが、それよりもまず「作ることが大事」だと考えています。とにかく難しい内容にだけはしたくなかったんですよね。企画段階で瀬尾さんも「みそも出汁も簡単でOK」と言ってくださったので、ほっとしました。実際、具からちゃんと味が出るので、出汁にこだわらなくてもおいしく作れるんですよ。個人的には「水出汁」がおすすめです。蓋つきの保存容器に、昆布と煮干しを入れて冷蔵庫で一晩おくだけ。冷蔵で4~5日もつし、使う量も調節しやすくて便利です。
――みそや出汁だけでなく、具についても「何を入れてもいいんだ!」という発見がありました。たとえば「じゃがいも+コーン+バター」の組み合わせなど、パンに合う洋風レシピもあるんですね。
小林:実はみそ汁って、とにかく何を入れてもおいしいんですよね。『みそ汁はおかずです』には、基本のレシピをベースに、ひと工夫加えるレシピも収録しました。いつものみそ汁がちょっと特別な味になると思いますよ。
▼すったじゃがいもとコーン、バターのみそ汁。
――「カレー粉を入れる」というのも斬新でした。「漬物を入れる」「サバ缶を入れる」なんてものもありますよね。
小林:ぜひ試してみてください(笑)。とはいえ、みそ汁は日常的に作るものなので、奇をてらった食材は使っていません。「スーパーで常に買える材料で作れるようにしよう」「野菜はたくさん入れたいよね」という話をしながら食材をピックアップしました。カバー下には食材からレシピを引ける索引をつけているんですが、冷蔵庫のなかにあるものからレシピを選べるので、便利だと思います。
池澤:意外性と実践しやすさからか、SNSに作ったみそ汁の写真を本と一緒に投稿してくださる方も多いです。
――ちなみに、小林さんのお気に入りレシピはどれですか?
小林:最近はトマトのみそ汁にハマっています。オクラや青じそなどと合わせると、暑い時期にもぴったりです。
――みそ汁は熱中症や夏バテ予防にもいいそうですね。夏野菜を入れたみそ汁は、私もぜひ作ってみたいです。
小林:あとはキムチを入れたみそ汁もおいしいですね。発酵食品×発酵食品なので、体にもいいんです。
――レシピ本ということで、読者にはやはり主婦を中心とした女性が多いのでしょうか。
池澤:確かに、メインは40代~50代の女性です。ただ、料理の本にしては男性の読者が多くて、3割近くもいるんですよ。しかも若い世代から年配の方まで、幅広く買ってくださっているようなんです。
――それは意外ですね。
池澤:男性にみそ汁好きは多いですし、「これくらいなら作れそう」って思うのかもしれないですね(笑)。カレーとみそ汁は男性も作りたがるんですよ。
小林:一人暮らしの若い方や、30代になって健康が気になり始めた方、奥さんに「みそ汁くらい作ってよ」と言われた方など、いろいろいそうだなと思っています(笑)。
――『みそ汁はおかずです』は、実用書全体から書店員が選ぶ「実用書ブックフェスタ」で大賞を受賞した本でもありますね。
池澤:嬉しかったですね。料理本だけでなく、幅広い実用書のジャンルから選ばれ、かつ書店員さんが選んでくださったということが自信になりました。売り場でオリジナルの展開をしてくださる書店様が多かったので、われわれも手作りの拡材を準備して、書店様と一緒に楽しんで販売にチャレンジしています。
▼学研プラスの方が作成した、フェルトでできた手作りみそ汁。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします!
小林:日々忙しく働いているとなかなか難しいと思いますが、若い世代の方にはぜひ自分で食事を作っていただきたいなと思います。お惣菜や外食だけでも暮らしてはいけますが、自炊のほうが自分好みの味にできますし、健康にも経済的にもよくて、いいことずくめなんですよね。毎日のことなので、頑張りすぎない範囲で始めてみてほしいです。
池澤:自分のため、家族のため、理由はさまざまだと思いますが、この本を参考に実際に調理して、暮らしを豊かにしてもらいたいです。なんだかんだで、みそ汁は日本人のソウルフードだと思っています。みそ汁が、家族で話をするきっかけになるといいなと思います。
――本日はありがとうございました!
(取材日:2018年6月6日)