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小林エリコさんが自身の体験をもとに描いたエッセイ『この地獄を生きるのだ ―うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。』が、12月7日(木)にイースト・プレスより発売されました。
著者の小林さんは、これまでコミティアや文学フリマなどを中心に活動しており、ミニコミ誌「精神病新聞」を発行するほか、漫画家としても執筆を行なっています。Webで発表した「宮崎駿に人生を壊された女」がSNSを中心に話題になったので、ご存じの方もいらっしゃるかと思います。
今回発売された『この地獄を生きるのだ』は、小林さんが制作した同人誌「生活保護を受けている精神障害者が働くまで(仮)」を大幅に加筆修正し、巻末に「女性編集者残酷物語」を加えて書籍化したものです。
小林さんは短大を卒業した後、アダルト系漫画雑誌の編集者として出版社に勤務します。しかしそこは、手取り12万円、ボーナスなし、社会保険なしのまさにブラック企業。あまりに多忙な仕事と貧しい生活から心を病み、自殺未遂を起こして退職することになりました。
その後うつ病と診断され、小林さんは生活保護を受給しながら、クリニックの精神科とリハビリのデイケアに通って社会復帰を目指します。しかし“普通の生活”への復帰を熱望する小林さんの思いに反し、役所のケースワーカーはやる気がなく、さらにはクリニックによる「貧困ビジネス※」の被害者になってしまいます。
※経済的に困窮している人を対象にしたビジネス。貧困からの脱却に役立つものでないどころか、貧困を固定化させることにつながる。
『この地獄を生きるのだ』は、そんな苦難ばかりの人生の中で必死に“普通の生活”を目指し、再び「漫画の編集」という仕事で運命を切り開こうともがく姿が、自らの視点で描かれています。
非常に重いテーマを扱っていますが、淡々とした語り口で、意外にさらりと読める作品です。精神病医療や貧困ビジネスのまっただ中にいる当事者の視点から綴られているため、ジャーナリストの書いたルポのような客観性には乏しいかもしれませんが、うすら寒くなるような生々しい現実を感じます。
ブラック企業、精神障害、貧困などの問題を抱えている方、現代の社会問題に興味のある方、今“生きづらさ”を感じている方は、手に取ってみてはいかがでしょうか。
目次:
はじめに
第1章 精神障害、生活保護、自殺未遂
第2章 ケースワーカーとの不和
第3章 「お菓子屋さん」とクリニックのビジネス
第4章 漫画の単行本をつくる仕事
第5章 普通に働き、普通に生きる
第6章 ケースワーカーに談判、そして
第7章 人生にイエスと叫べ!
おわりに
特別収録 コミック「女編集者残酷物語」