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『うつヌケ』はまず、著者である田中圭一さんのエピソードから始まります。
田中さんは当時、サラリーマンと漫画家の二足のわらじで、365日働き詰めだったそう。しかし、「忙しかったことはうつの原因ではない」「仕事のことは大好きで、苦痛に思ったことは一度もなかった」と強く否定しています。
では何が原因だったのかというと、それは「自分のことをキライになったこと」。周囲からのクレームや愚痴、不安な表情をきっかけに、ささいな「自己嫌悪」を感じたことが、うつの引き金になったのだろうと振り返っています。
しかし当時はそのことには気付いていません。精神科へ通って処方してもらった薬を飲みながらも、なかなかよくならずに医者を転々として長年悩み続けていた田中さん。
そんな時、たまたまコンビニエンスストアで一冊の本に出合い、田中さんは自身の「うつの正体」を理解します。
それは『自分の「うつ」を治した精神科医の方法』という本。田中さんはそこに書かれていた「自分を好きになる方法」を実践することで、うつトンネルを抜け出すことができたといいます。
他にも、権威に対する恐怖心から「NO」と言えずに頑張り続けてしまった人や、自己実現と周囲からの重圧で押しつぶされてしまった人など、『うつヌケ』には様々な経歴・境遇の人が登場します。また完治した方や、まだ時々症状が顕れるという方など、症状も様々です。
多くの人の事例を見られるということは、自分と似た経験を持つ人を見つけられるという面もありますし、生活パターンや思考パターンといった“共通の傾向”を見つけることにもつながるでしょう。
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厚生労働省が発表した「平成26年(2014)患者調査の概況」によると、うつ病などの気分障害で医療機関を受診している患者は111万人以上で過去最多となっています。今や他人事とはいえない現代病です。
『うつヌケ』は、自分を理解するのにも、他者を理解するのにも参考になる一冊だと思います。「自分はうつとは無縁だ」と思っている方も、読めばうつが決して特別なものではなく、またきっかけは非常にささいなものだということがわかるでしょう。
試し読みで興味を持った方は、ぜひ単行本も手に取ってみてくださいね。
〉トーチweb「うつヌケ ~うつトンネルを抜けた人たち~」
https://note.mu/keiichisennsei/m/m1e241522cab9