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1.私たちの脳は1~2万年前から大きく変化していない。脳の最優先事項は「生存」であり、健康な精神状態で幸せに生きることではない。脳は感情をつくり出すことで私たちの行動をコントロールし、生存率を上げようとしている。
2.人類の歴史上、最も生存の脅威となったのは「炎症」だ。脳は炎症を感じると、行動を抑制する感情をつくり出し、私たちを引きこもらせようとする。この免疫反応が長期間に渡った状態がうつである。
私たちの4人に1人が、人生においてうつや強い不安などの精神的不調を経験するといわれる。昔とは比較にならないほど豊かな暮らしをしているのに、なぜここまで多くの人がうつや不安に悩まされることになるのか。そんな疑問に答えてくれるのが本書だ。
世界的な大ベストセラー『スマホ脳』の著者であるアンデシュ・ハンセン氏は、本書においてうつの原因を脳のシステムから生物学的な視点で解説している。本書によれば、私たちの脳は1~2万年前、狩猟採集民だったころと大きく変化していないのだという。脳は、生存し、子孫を残すことだけに特化したシステムを持つ。脳にとって、私たちが精神的に安定して、幸せを感じて生きているかどうかなど、まったく問題ではないのだ。
脳はストレスを感知すると気分を落ち込ませ、身を守るために行動を抑制しようとする。うつ状態は、生存率を上げようとする脳の免疫反応なのだと本書は説明する。気分が落ち込んでくると、「これくらいで情けない」「もっとつらくても頑張っている人もいるのに」などと自分を責めてしまいがちだが、それも脳の防衛システムによる反応だと思えば、気持ちが少し楽になる。
社会や技術が高度に発展した現代を生きる私たちは、自分が「人間」という生物の一種であることを忘れてしまいがちだ。しかし、私たちには身体があり、脳は生物として生存し子孫を残すためのシステムに則って機能しているのだということを本書は教えてくれる。厳しいストレス社会を生きるすべてのビジネスパーソン必携の一冊だ。