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  • 秩序化された社会で「差異」を肯定することの必要性とは?【総合4.0】

    2022年06月04日
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    現代思想入門
    著者:千葉雅也
    発売日:2022年03月
    発行所:講談社
    価格:990円(税込)
    ISBNコード:9784065274859

     

    『現代思想入門』の要点

    1.現代思想を代表するデリダ、ドゥルーズ、フーコーに共通するのは、「二項対立の脱構築」だ。これは、物事を善と悪などの二項対立で捉えて良し悪しを判断することを、「いったん留保する」ことだ。

    2.デリダは、二項対立の脱構築という考え方を打ち出し、「概念の脱構築」を行った。

    3.「存在の脱構築」を行ったドゥルーズは、全体性から逃れる動きを「逃走線」と呼び、既成の秩序の外に広がる関係性がクリエイティブだと見なした。

    4. フーコーは、人間が持つ過剰さゆえの多様性を整理しすぎず泳がせておく社会の余裕を求め、「社会の脱構築」を行った。

     

    『現代思想入門』レビュー

    現代では「きちんとする」方向に改革が進んでいる。そんな著者の言葉に「それはいいことではないか」という気持ちが生まれる。しかし、それによって生活が窮屈になっていないか、ビクビクした生き方になっていないかと問われると、思い当たる節がある。「きちんとする」ためのルールは単純化を生み、ときには例外や複雑性を無視し、多様性を排することにつながってしまう。秩序のために、わたしたちは日々何かを切り捨てているのだ。

    本書がテーマとする現代思想は、ルールや秩序を強化する動きへ警戒心を持ち、「差異」に注目する思想だ。哲学書の読解には前提知識が必要となるため、初心者がいきなり原典にあたっても理解できないことが多い。本書はそうした哲学書に一歩近づくための、「入門のための入門」だ。慣れない用語や考え方に戸惑う読者もいるかもしれない。それでも、繰り返し読むうちに理解の層に色が重なっていくのを感じられることだろう。読み終える頃には現代思想が少し身近なものになっているはずだ。

    排除される余計なものを「クリエイティブ」と捉えて肯定した現代思想は、人生の多様性を守るために重要な視点だと著者は指摘する。秩序はたしかに必要だが、本当に管理を強化していくことで安心して暮らせるようになるのか。そもそも秩序を守りたいという気持ちはどこから来るのか。「きちんとしている方がいいに決まっている」と言いたくなった方にほど、本書を読んでみていただきたい。

    現代思想入門』のもっと詳しい要約はこちらで公開中! 〉〉

     

    『現代思想入門』が気になる方におすすめ

    エマニュエル・トッドの思考地図
    著者:エマニュエル・トッド 大野舞
    発売日:2020年12月
    発行所:筑摩書房
    価格:1,650円(税込)
    ISBNコード:9784480847539

     




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