• fluct

  • 「最強の睡眠」は食事がつくる!寝つきが悪い、寝起きがつらいを解消する最強の方法

    2020年10月19日
    くらす
    花森リド:講談社BOOK倶楽部
    Pocket

    成功する人ほどよく寝ている
    著者:前野博之
    発売日:2020年08月
    発行所:講談社
    価格:990円(税込)
    ISBNコード:9784065208649

    最近いろんな場面で「睡眠」の気配を感じる。

    スマートウォッチとスマートフォンが登場してから「睡眠アプリ」や「睡眠計」がグッと身近な存在となった。おかげで自分の睡眠の質と量を客観視できる。ゆっくりお風呂につかった夜はシャワーだけの夜と比べて「よく眠れた」とアプリが褒めてくれるのだ。

    そして、ジム。トレーナーによく言われるセリフのナンバー2が「よく寝てくださいね!」だ。(ちなみにナンバー1は「プロテイン」)。確かによく寝ている時期の方が痩せやすい。エンジニアが多いIT系企業では「パワーナップ」と呼ばれるお昼寝タイムが浸透してきている。

    つまり「質の良い睡眠をたくさんとったほうが良い」のは確かなのだろう。どのくらい良いことなのか? それは何時間で、どんな睡眠なのか? そして、どうすればベストな睡眠をとれるのか? これらが『成功する人ほどよく寝ている 最強の睡眠に変える食習慣』に詳しく書かれている。わかりやすい睡眠ガイドだ。読むと、強い気持ちで「7~8時間ちゃんと眠ろう!」となる。

    題名に注目してほしい。本書は「食習慣」から睡眠にアプローチしているのだ。

    睡眠を改善するには栄養素がポイントになる。
    摂取した栄養素を生かすには睡眠の質を高めることが必須。

    作者は睡眠栄養カウンセラー協会代表理事の前野博之さん。栄養の知識と睡眠の知識を合わせた「睡眠改善メソッド」を構築した人だ。このメソッドを実践すると、よく眠れるようになり、さらには仕事の効率も上がり、健康にもつながるのだという。

     

    なにがなんでも7時間以上寝たくなる

    本書の前半では睡眠不足のデメリットと、それを改善することによるメリットがたっぷり語られている。もう、なんとしてでも寝なきゃ! という気持ちになる衝撃的な話ばかりだ。一部を紹介したい。

    米国ペンシルベニア大学とオーストラリアの研究機関の報告によると、6時間睡眠を10日続けると、なんとウイスキーをショットグラスに4杯飲んだのと同じ程度に集中力が低下することがわかってきた(体重60kgで計算)。

    しまった、私は週5で酒気帯びと同程度の頭で生きているのか。

    睡眠不足の状態だと、怒りの感情を生み出す脳の扁桃体の反応が60%も増幅され、イライラしたり、ついカッとなって言いすぎたりしてしまうことがわかった。

    集中力が低い上に怒りっぽい……たちの悪い酔っ払いじゃないか! しかも免疫力にも影響があるのだという。健康な男性25人を、睡眠時間が長いグループと短いグループに分け、それぞれがインフルエンザの予防接種を受けると、彼らになにが起きたか?

    7時間半~8時間半の睡眠グループは力強い抗体反応を示したが、4時間睡眠のグループは50%の抗体反応しか示さなかった。

    もはや良いことが全然ない。今すぐ寝たい。ただ寝るだけじゃない、ちゃんと寝たい。ここでポジティブに考えると、ちゃんと寝ると、これらのトラブルが防げるかもしれないのだ。

    睡眠は合法かつ究極のパフォーマンス向上薬と言ってよいだろう。

    良い。パフォーマンス上げたい!

     

    副腎は疲労し、栄養は足りない

    睡眠の問題は色々だ。本書はビジネスパーソンにスポットを当てている。

    40代を中心とする1521人にアンケートをとった結果、1位は「午後に睡魔に襲われる」536票、2位は「寝起きが辛い」478票、3位は「夜中に目が覚める」315票、4位は「寝つきが悪い」192票となった。

    これらの問題の原因を一つ一つ解説し、対策をわかりやすく教えてくれる。例えば、私も悩んでいる「寝起きの辛さ」の原因は「副腎疲労」なのだという。

    睡眠不足や慢性的にストレスを受ける状態が続くと、副腎はストレスと闘うために過剰にコルチゾールを分泌し続け、その結果として副腎が疲弊し、必要な時にコルチゾールを分泌できなくなってしまう。
    この「副腎疲労症候群」の状態になると、本来ならば朝に上昇するはずのコルチゾールの血中濃度が一向に上がらず、その結果、血圧も血糖値も体温も上がらないために体も覚醒できないので、朝の寝起きが辛くなってしまうのだ。

    ああ、クタクタになった私の副腎をねぎらいたい。ここで本書のタイトルを思い出すのだ。内臓をいたわるには栄養が必要。そう、だから「食習慣」は睡眠と結びついている。

    副腎の負担になる食材を避け、回復に必要な食材を摂ることを本書はすすめている。例えば、砂糖、グルテン、カゼインは避けたほうがよく、タンパク質、脂肪、そして血糖値を急上昇させない玄米や全粒小麦が推奨される。

    読みながら「あっ」と気がつく。ここでおすすめされる食材は、「寝起きの辛さ」に限らず「午後に睡魔に襲われる」問題の解消にも役立ちそうだ。つまり、睡眠の問題を総合的に改善したければ、やっぱり食生活の見直しが大切であることがわかる。そもそもの問題として「栄養が足りていない」と作者は指摘する。

    タンパク質、脂質、糖質の3大栄養素を薪と仮定すると、ビタミンがマッチでミネラルはマッチ箱と考えてほしい。(略)マッチはマッチ箱をこすらないと火がつかないように、ビタミンだけでなくミネラルも必須なのだ。それらが不足してしまうと3大栄養素に火がつかずに体の中で燃え残ってしまい、それが睡眠の質を下げてしまったり、肥満や動脈硬化をはじめとするさまざまな病気の原因となる。

    わかりやすい。たくさん食べているのに栄養が足りない。なかなかショックだ。

     

    よく寝ることは攻めの姿勢

    睡眠不足のよくないところは、本人にその自覚がなくてもパフォーマンスが落ちてしまうところだ。パフォーマンスのよくない人が、仕事で結果を出せるだろうか? ストレスなく楽しく働けるだろうか? 元気に働けるだろうか? そう本書は説く。

    「睡眠負債」という恐ろしげな言葉が登場するが、脅かしじゃなく本当に負債だと思う。つまり、栄養と睡眠を改善すれば、リスクをうんと減らせるのだ。めちゃくちゃいい話じゃないか。

    「ちゃんと寝ないとね」と口ではみんな言う。同時に「寝不足です」と肩をすくめる。睡眠の問題でがんじがらめになっている人に、問題の正体と解決の糸口を教えてくれる1冊だ。

    (レビュアー:花森リド)


    ※本記事は、講談社BOOK倶楽部に2020年9月22日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




    タグ
    Pocket

  • GoogleAd:SP記事下

  • GoogleAd:007

  • ページの先頭に戻る