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2018年の厚生労働省の調査によると、日本人の平均寿命は男性が81.25歳、女性が87.32歳と過去最高を記録。この平均寿命は、健康意識の高まりにより、さらに延びる可能性があるとも言われています。
平均寿命が延びていく一方、1年間の出生数は年々減少しています。2016年に100万人を切り、2019年には約86万人に。日本は超高齢社会になっています。
こうした社会を生きる中、さまざまな状況の変化が考えられますが、その中の一つに人の「死」が身近になる「多死社会」が訪れると予測されています。
「死」は縁起の悪いものとして忌み嫌われ、「苦しい」「つらい」といったネガティブな認識をされがちです。高齢者が増えた日本では、この「死」という概念がより身近になっていきます。
2018年、日本国内では136.9万人が亡くなりましたが、今後もその人数は増え続けるとされています。2040年には、死者数のピークを迎え、1年間に166万人が亡くなると予測されています。
こうした傾向の中で、「死」を受け入れる取り組みが進んでいます。終末期を迎えた人を自宅で看取る試みや、末期がんなどによる痛みを緩和し、苦しみを和らげるホスピスの増加など、「死」を前にした人が豊かに過ごせる取り組みが進められています。
6月19日(金)に発売された『死にゆく人にあなたができること』には、「死」に直面して苦しんでいる人と、その家族・周囲の人がどのように救われていくか、具体的なエピソードとともに紹介されています。
著者の鈴木秀子さんは、日本近代文学の研究者という一面もある一方で、ターミナルケア――終末期を迎えた人を看取る――シスターとしても活動しています。
鈴木さんが看取った中には、作家・遠藤周作さんもおり、長年連れ添った妻・順子さんとの闘病の様子も本書に収録されています。死を前にした周作さん、パートナーの死により取り残される順子さん。2人の強い絆から「死は終わりではなく、生の続きである」といった、ポジティブな気づきが得られます。
そのほか、「死を前向きに捉えられるプロセス」や「死にゆく人とどのような時間を過ごしたらいいか」といったhow to内容も掲載。近い将来身近になっていく「死」と向き合うための手助けをしてくれる1冊です。