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  • 季節の行事やおつきあいのマナー、冠婚葬祭の「?」がわかる『しきたり大全』

    2020年01月13日
    くらす
    花森リド:講談社BOOK倶楽部
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    図解日本人なら知っておきたいしきたり大全
    著者:岩下宣子
    発売日:2019年11月
    発行所:講談社
    価格:1,320円(税込)
    ISBNコード:9784065178478

     

    「しきたり」は何のため?

    大人になると年代の違う人とのおつきあいがとても増える。そしてお祝い事や弔事の機会も増えた。年齢や立場の違う人にも「私はあなたのことを思っています」という気持ちをそっと伝えたいとき、静かに頼もしく助けてくれる共通言語が「しきたり」だと思う。

    が、「しきたり」はわからないことが多い。知識が一枚板になっていないというか、まだらだ。わからないとどうなるか? 怖いのだ。

    私の家は神道だったこともあり、昔は仏式の葬儀に出るととても緊張した。自分が何か失礼なことをしてしまうんじゃないかと怖かった。じゃあ「失礼なこと」ってなんなのだろう。「軽んじているように見える」だろうか? 本当はそうじゃないのに。だから、冒頭でも書いたとおり「私はあなたのことを思っています」を正しく伝えたい。しかもそれは言葉では伝えられない。

    弔事だけじゃない。たとえば手紙をいただいて、返事を書きたいが、どう書き出して良いかわからない。年下の人に入学祝いを渡すとき。金額は? タイミングは? メールやLINEや電子マネーを普段使っていても、それだけじゃ日常は完結しない。だって「言葉では伝えられないけれど、ちゃんと伝えたい」ものがあるからだ。

    このムズムズした気持ちを丁寧にほぐしてくれるのが『図解 日本人なら知っておきたい しきたり大全』だ。日本の暦の上での「季節のしきたり」に始まり、お祝いなどの節目、冠婚葬祭、そして訪問とおもてなしの方法、贈答・手紙の贈り方まで網羅されている。

     

    和の暦、楽しい!

    本書の約半分は「二十四節気と七十二候」のわかりやすい解説になっている。たとえば12月上旬ならこのような感じ。

    確かに12月13日前後から急にお正月の準備をする空気になる。「第六十二候 熊蟄穴(くまあなにこもる)」など、どれも目に浮かんで楽しい。和菓子の季節ごとのモチーフを思い出した。和暦は最近のカレンダーではあまり馴染みがないけれど一つ一つ読むと親しみが湧いてくる。“瑞雪(ずいせつ)”って綺麗な言葉だな。

    季節の伝統行事についても丁寧な解説が。個人的にとても感動したのは「お月見のしきたり」だ。

    お月見団子の形状(少しつぶれている)、そして数に合わせた並べ方……! 知りませんでした……。

     

    水引の早見表が欲しかったんです

    後半は、お祝い、婚礼、弔事、訪問、食事、贈答、手紙といったシーンごとのしきたりだ。袱紗の包み方はいつもアヤフヤで、開くときに綺麗じゃないなと気になっていたので知ることができて嬉しい。そして弔事の際の水引についても、とても心強い説明がなされている。

    宗旨・宗派によって葬儀の形式が違うように、不祝儀袋の選び方や表書きも、それぞれに決まりがあります。

    そうですよね。我が家で「玉串」と呼んでいるものが、仏式だと「お香典」になる。

    訃報を受けた時は、必ず「ご宗旨は?」と確認をし、礼にかなった不祝儀袋を用意しましょう。

    ちゃんと確認を取るのは大切なこと。そして、不祝儀袋の用途ごとの表書き一覧表がとてもわかりやすくて丁寧だ。仏式、神式、キリスト教式ごとに表がある。

    文房具屋さんで慌てて不祝儀袋を買って「これで良かったんだろうか」と手がピタリと止まるあの時に、こちらのページを頼りにしたい。備考もわかりやすい。

    本書を一通り読むと、「しきたり」は怖いものじゃないことがよくわかる。季節の行事は日々を慈しむためにぴったりだし、お祝い事や弔事のしきたりには「相手を敬う気持ち」が詰まっている。気持ちを伝えるための優しくて丁寧な手段なのだなと思える。だから「何かあった時」だけじゃなく、普段から少しずつ読み物として読むのも楽しいはずだ。

    (レビュアー:花森リド)


    ※本記事は、講談社BOOK倶楽部に2019年12月28日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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