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1.母乳育児は、生後1年間の乳児に健康面のメリットをもたらす。だが、長期的にみるとメリットがないこともわかっている。
2.ノルウェーでは、同僚や兄弟といった近しい男性が育休を取得した場合、周囲の男性の育休取得率が11〜15パーセント上昇したというデータがある。
3.幼児教育によって、生涯労働所得の増加、犯罪の減少、社会福祉利用の減少など、社会全体に恩恵がもたらされることがわかっている。
「子どもが幼いうちは母親がつきっきりで育てるべき」「ミルクでなく、母乳を与えたほうがよい」「離婚した夫婦の子どもは不幸になる」――テレビやインターネットなどでよく耳にする話だ。本書では、経年のデータを検討することによって、科学的な「確からしさ」をわかりやすく紹介し、こういった「常識」にメスを入れていく。本書を読めば、政府統計にすら数字のマジックが潜んでいることや、これまでの研究の多くが示してきた「結果」を鵜呑みにしてはいけないということがわかるだろう。
著者は本書で、著者自身の意見を提示しつつも、決してそれを押し付けることはない。データに基づいていくつかのあり方を示した上で、どうすれば自分(たち)がより「幸せ」になれるかを自分(たち)で考えるように水を向けているところに、著者のデータに対する誠実さが現れている。それは、「あとがき」に記された次の言葉からも読み取れる。「すべての物事には良い側面もあれば、悪い側面もあります。だから、それらを総合的に考慮した上で、あなたと家族にとって何が幸せにつながるのかを、あなた自身が選びとってください。科学的研究は、私たちがよりよい選択をする上での助けにはなりますが、『何が自分にとっての幸せなのか』までは教えてくれません」
これから結婚しようとしている人、子どもをもうけようとしている人はもちろん、未来を担う子どもたちを等しく支えるこの社会の構成員のみなさんに、ぜひお読みいただきたい一冊である。