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深刻な労働人口不足を背景に、国が掲げる「働き方改革」が企業で求められています。変化が多い世の中で、従業員が働きやすい環境を作る、企業の業績を上げる、どちらもやらなければならないのは経営者の難しいところです。
こうした問題解決のために、外部の人事コンサルタントを招いて、「人事評価制度」を改革することも方法の一つでしょう。
しかし、人事評価制度を変えることが必ずしも企業の抱える課題を解決できるわけではありません。
クライアント:地元の常連客で賑わうスーパーマーケット。
社長:人事評価制度を変えて、社員のモチベーションを上げ、業績アップを図りたい。
従業員:鮮魚や青果、総菜などを担当する職人気質の従業員100名前後が所属。
社長には、「地域に貢献し、地域とともに成長する店」という創業の想いがあり、会社には、「顧客第一主義」「適正利益の確保」「仕事を通じた社員の生活と人格の向上」という理念がありました。
人事コンサルタントは、社長の想いと会社の理念をもとに、キャリアパスを設計。さまざまな部署の従業員がいる中で、それぞれを正しく評価ができるようにした人事評価制度を作成しました。
しかし、理想的ともいえる人事評価制度を作成したものの、新しく導入した人事評価制度は機能しませんでした。
社長は、理念や想いを持った人物でしたが、実は今回の制度改革には、もう一つの背景がありました。
それは「従業員をハンドリング」すること。職人気質の従業員たちは、専門性も高く、業務の中心人物だったのですが、素行・態度に問題がありました。社長はそんな彼らとはコミュニケーションを取らずに、人事評価制度で手綱を握ろうとしたのです。
人事評価制度が失敗する原因は主に5つあります。
1.経営者の動機が不純またはビジョンが弱い
2.組織の運用キャパを超えた評価制度を導入している
3.制度が組織に馴染まないうちから賃金や昇進への反映を行ってしまう
4.制度の導入に満足し、運用を怠ってしまう
5.専門家・アドバイザー選びの失敗
今回の失敗原因は、人事評価制度を変える動機が不純だったこと。人事評価制度は、単に従業員の給与を決めるものでも、社長の意向をダイレクトにつなげるものでもありません。社長が、従業員とコミュニケーションを取り、部下との信頼関係を構築する必要がありました。
そして、ITシステムのように導入したからといって、すぐに結果が出るものでもありません。運用をはじめて、時間をかけて修正しながら機能するのが人事評価制度です。
『9割の会社が人事評価制度で失敗する理由』(あさ出版)では、数々の会社で人事評価制度のコンサルタントをしてきた森中謙介さんが遭遇した、人事評価制度の失敗事例が、フィクションのドラマ形式で紹介されています。
和服販売業、システム開発会社、温泉旅館……。小売業からサービス業まで、さまざまな失敗例から、人事評価制度が失敗した理由を明かします。
今回の失敗例のようなことを避けながら、時代の変化に合った人事評価制度を作るためには、何に気をつける必要があるのか。本書に掲載されている失敗例がヒントになるかもしれません。