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「学生時代、数学が苦手で仕方なかった」そんな大人たちの心を掴む本が、注目を浴びています。その名も『東大の先生! 文系の私に超わかりやすく数学を教えてください!』。
「渋滞学」の研究で知られる東京大学教授の西成活裕さんが、数学の基本的な考え方を学べる「中学数学」を、数学嫌いな生徒との会話形式で楽しくレクチャーする一冊です。
本書の特徴は、中学3年分の数学をなんと5~6時間という短時間で学べるところ。現在10刷20万部を突破している本書について、編集を担当したかんき出版の古川さんと、営業部の村越さんにくわしくお話をうかがいました。
(左から)
かんき出版
編集部 古川有衣子さん
営業部 課長代理 村越大将さん
――発売のきっかけは?
古川 もともと私自身が小学校時代から数字関係が苦手で、「数学アレルギー」みたいなものがずっとあったのです。ビジネスパーソンはいろんな場面で数字を読み解く必要があると思うのですが、数字を見るだけでウッとなる状況で、さっぱり理解できないという悩みがありました。
西成先生は以前別の仕事でご一緒したときに説明がとてもわかりやすく、西成先生に教えてもらえれば数学アレルギーを克服できるのではと思いました。そこでまさにタイトル通り「先生、私に数学を教えてください!」とお願いしたのです。
数学嫌いの人の多くは中学校でつまずき、高校で挫折するケースが多いため「中学数学」を選びました。西成先生によれば「中学数学」は、文系理系関係なく、社会人が数字を読み解くために必要な素養だといいます。
――本書には、数学は問題解決のための「思考体力」を鍛える最適なツールだと書かれていますね。「問題を解くこと」が目的なのではなく、数学を使って「現実世界の問題にどう対応するか」を目的としているのが新鮮でした。
▼現代人に求められる「思考体力」は6つに分類される(本書p.38)
古川 数学が苦手な皆さんはおそらく「なぜ問題を解かなければならないのか?」など「数学を学ぶ意味」に疑問を持っているのではないかと考え、それを解消できるようにしました。
それについても先生にくわしくお話をうかがえたので、本書の解説を読めば、文系理系関係なく「数学は現実的に使える学問」だと納得できると思います。
――なぜ本書では、学校だと3年間かかる数学をこんなにも短時間でおさらいできるのでしょうか。
古川 それは、「中学数学の最終ゴール」から逆算して“最短ルート”を作り上げているからです。
数学には大きく分けて「代数(数や式)」「解析(グラフ)」「幾何(図形)」の3分野があり、それぞれにゴールが設定されています。中学数学のゴールは、代数なら「二次方程式」、解析なら「二次関数」、幾何なら「ピタゴラスの定理と円周角と相似」の3つをマスターすることです。
ところが学校では、全体像を生徒に提示しないため見通しがつかず、各単元で学習事項が重複しているため時間のロスが多くなります。
一方、西成先生は初めに前述した3つのゴールを提示した上で、ゴールにたどり着くための最重要課題だけをピックアップして解説しているため、短時間で3年分の単元を一度にやり直すことができるのです。
――「全体像を把握してから学習に取り組めること」「学習内容にムダがないこと」が大きなポイントですね。
▼3つのラスボス「二次方程式」「二次関数」「ピタゴラスの定理と円周角と相似」を倒すことが、中学数学のゴール(本書p.56)
――数学をわかりやすく解説した類書はすでにいくつかあると思いますが、それらと比較して本書の強みは何ですか?
古川 類書には数学の面白さに触れられる「数学トリビア的な本」と「数学の問題を解けるようになるための本」の2種類がありますが、そのどちらの要素もある本というのはなかなかありませんでした。
特に後者がテーマだとかっちりしている本が多いため私が読んでも理解できず、もっと楽しく簡単に学ぶことができたらいいのにと思い、本書は「数学が身近に感じられて、かつ問題が解けるようになる本」を目指して作りました。
――会話形式で解説が進んでいく本書ですが、西成先生と、生徒役を務めたライターの郷和貴さんの掛け合いも読みどころですね。郷さんが苦しみながら(?)数学を理解していく様子がよくわかりました。
古川 郷さんも私と同じく「数学アレルギー」の方なので、先生の説明でわからないところがあるとその都度ツッコミを入れてくれました。
「先生、言っている意味がわからないです!」などの発言をあえて拾い、そこを掘り下げることによって、数学が苦手な人がつまずきがちな部分を解消できていると思います。
また親しみやすいよう、会話はまるでLINEでトークしているかのようなデザインにし、文章の間にはスタンプを入れるなど工夫しました。
▼テンポの良い会話と“ゆるかわいい”イラストで楽しく学べる(本書p.66~67 ※クリックで拡大されます)
――購買者は40~50代の層がメインですね。大人の学び直し以外におすすめの活用方法はありますか?
古川 本書の表紙に「誰かに教えられるほど理解できる」とありますが、実際に親御さんが子どもに勉強を教えるために購入されるケースが多いです。
ほかにも高校生が復習のために読んだり、小・中学生のプレ学習に活用していただくこともあります(大人の復習用に作られているため、プレ学習に使用する際は取扱いにご注意ください)。
あとはやはり自分の悩みを解決したいということからスタートしたので、数学嫌いな人や「何で数学やるの?」と疑問を抱いている人に読んでいただければ、「こういう意味があったんだ!」とか「意外ともう一回勉強してもいいかな」という気持ちになってもらえると思います。
――読者層を広げるためにどんな取り組みをしていますか?
村越 基本は理工学系の棚に置かれることが多いのですが、書店さんとお話して話題書やビジネス書のコーナーへも多面展開していただき、売上が上がっています。
ワゴンを使った仕掛け販売や、弊社発売の『英単語の語源図鑑』など類書と併売していただける書店様も増えてきました。
またこれまで電車広告や地方紙への広告出稿を実施し部数を伸ばしてきたのですが、今後もそういった取り組みをしていきたいと考えています。
▼未来屋書店四條畷店での展開の様子。黄色い表紙が目印!
――続編の予定はありますか?
古川 発売時期は未定ですが、続編として「高校3年間の数学」をギュッと凝縮して学べる本を鋭意制作中です。あまりくわしいことは言えませんが、内容はかなり濃密になる予定です! ぜひ、楽しみにしていてください。