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  • ラグビーW杯がやってくる!日本ならではの「ノーサイド精神」を世界へ

    2019年07月07日
    知る・学ぶ
    日販 ほんのひきだし編集部「日販通信」担当
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    いよいよ9月20日(金)に開幕するラグビーワールドカップ2019日本大会。世界レベルの戦いとともに、近年飛躍的にレベルアップしている日本代表が、どのような熱戦を見せてくれるのかに期待が高まっていますが、ラグビーの楽しみはピッチの上だけにとどまりません。

    今回は、そんなラグビーの魅力である“ノーサイドの精神”について、長くラグビーの取材を続けてきた、「ラグビーマガジン」編集長の田村一博さんに寄稿していただきました。

    Rugby magazine (ラグビーマガジン) 2019年 08月号
    著者:
    発売日:2019年06月25日
    発行所:ベースボール・マガジン社
    価格:980円(税込)
    JANコード:4910091350891

     

    届け! ラグマガ発ノーサイドの精神

    AIや無人運転システムなどは、手塚治虫の漫画を通し、生きているうちに世に登場するかもしれないと思っていた。

    しかし、ラグビーのワールドカップがこの国で開催されるなんて考えてもみなかった。
    この秋、オリンピック、サッカーワールドカップとともに世界3大スポーツイベントに成長したラグビーワールドカップが日本で催される。全国の12会場で44日間に48試合、世界最高レベルの戦いが繰り広げられる。世界中から多くのファンが来日する。約180万人がスタジアムを埋め尽くすと予想されている。

    日本での開催が決定した2009年の時点では、日本代表がワールドカップで勝ったのは1度だけ。1987年の第1回大会からすべての大会に出場しているものの、1991年大会(第2回大会)のジンバブエ戦以外は笑顔で試合終了を迎えたことはなかった。

    さらに、まだワールドカップのホスト国になったことがないラグビー強国もある。そんな中で日本開催が決まったのだ。世界のラグビーを統括する団体、「ワールドラグビー」は、多くの人口を擁するアジアでの初開催により、楕円球がアジア各国にも転がり、ラグビーが正真正銘の世界的スポーツになることを望んでいる。

    そのためには、2019年大会にアジアから唯一出場する日本代表の躍進が必要不可欠だ。決勝トーナメントには進めなかったが、2度の優勝経験を持つ南アフリカを倒して3勝を挙げるなど、世界を驚かせた2015年大会(第8回大会)と同様か、それ以上のビッグパフォーマンスが期待される。

    2015年大会で吹いたジャパン旋風は強烈だった。エディー・ジョーンズ監督のもとで鍛え込まれたチームは南アフリカ代表の大男たちを向こうに走りまわり、勝利を得た。独特のポーズから正確なキックを何度も成功させた五郎丸歩の名は世界中に広まった。

    現地で日本代表を応援した人たちは、周囲の観客から祝福され、南アフリカのファンからすら握手を求められた。パブでは「日本人か。ビールをおごらせてくれ」と言われた人もいた。ラグビースタジアムのスタンドは、いわゆる「応援席」とは無縁。それが楕円球界独特のカルチャーだ。混じり合って座り、それぞれの国の代表を必死で応援し、相手チームにブーイングもするのに、試合が終われば隣の相手国サポーターと肩を組み、盃を酌み交わす。「ノーサイド」のスピリットは、ピッチの上だけの話ではない。

    試合終了のことを「ノーサイド」と呼ぶのは、実は日本だけだ。昔からのファンは特に、「ノーサイド精神こそ本場のラグビー」と信じてきたが、それはこの国の先人たちがラグビーの本質を自分たちなりに解釈したものだ。ぶつかり合いが前提のスポーツ。相手をリスペクトしないと成り立たない。そんな気持ちを胸に戦ったのだから、試合が終われば敵味方なく称え合おう。その思いを「ノーサイド」の5文字に込めた。

    日本開催のワールドカップでは、ボランティアとして大会を支える人たちのことを「チーム ノーサイド」(TEAM NO-SIDE)と呼ぶことになった。日本独特のカルチャーが世界へ発信される。これも、ラグビー伝統国以外で大会が開催される意義のひとつと言っていい。

    日本代表が活躍した2015年大会、「ラグビーマガジン」は大会期間中に緊急特集号を発行し、多くの読者にその一冊を手にとっていただいた。2019年大会でも、同じことが起こればいいな。

    ただ、祭典の閉幕をノーサイドにするつもりはない。今大会はこの国にラグビーがもっと根付くためのキックオフ。ラグマガを通し、ノーサイド精神はさらに広まる。


    ベースボール・マガジン社「ラグビーマガジン」編集長
    田村一博 TAMURA Kazuhiro
    1964年生まれ。1989年、「ラグビーマガジン編集部」に配属され、1997年より現職。ラグビーワールドカップは1991年第2回大会より現地取材を継続している。


    (「日販通信」2019年7月号「編集長雑記」より転載)




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