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『嫌われる勇気』の岸見一郎さんによる『定年をどう生きるか』が発売されました。
本書はアドラー心理学の考え方をもとに、定年後の問題を「対人関係の変化」の観点から考察する一冊。
今回は編集を担当したSBクリエイティブの渡邉勇樹さんに文章を寄せていただきました。
ベストセラーになった『嫌われる勇気』が2013年に刊行されて以来、アドラー心理学は一大ブームになり、多くの人に影響を与えてきました。なぜこれほどアドラー心理学が広く受け入れられたのでしょうか。
ひとつには社会の変化があるのだと思います。年功序列、終身雇用といった日本型雇用システムが崩れつつあり、社内には年下の上司や、中途社員、非正規社員がいて、社内外を横断したプロジェクトが増えてくるなど、人間関係のあり方が複雑になってきています。
アドラーは、あらゆる対人関係は対等であるとみています。これまでの会社組織では縦の関係、上下の関係に重きがおかれてきましたが、今後は縦ではなく、お互いを対等とみなす横の関係が重視されてくることでしょう。
内館牧子さんの『終わった人』という小説のなかで、元エリート銀行員だった主人公が「定年って生前葬だな」とつぶやきます。定年を迎え、会社という居場所を失い、生き甲斐を見つけることができない。
この小説が同じような立場にある読者の共感をよび、また実際に自分の周りにも同じような想いを抱えている人が大勢いることを知りました。
そんな人たちにとって、アドラー心理学が、定年後の対人関係をうまく構築するための手がかりになるのではないかと考えたことが、この本を企画したきっかけです。
定年後の悩みといったときに、真っ先に思い浮かぶのはお金や健康のことかもしれません。しかし、本書では、人はなぜ生きるのか、どう生きるのかといった哲学的なテーマについて考察しています。
会社が生活の中心だったという人にとって、定年を迎えることは、対人関係のあり方がこれまでとガラッと変わることを意味します。それが当人にとって生きづらさを感じさせるのかもしれません。
ただ一方でこれまでの考え方や生き方をあらためて、人生の後半戦を充実させるチャンスでもあります。
「いま自分は、自分の人生を生きているといえるのだろうか」そう問いかけてみてください。そのときに少しでも戸惑いを覚えたり、疑念を抱かれた方には、ぜひ本書を手に取っていただければと思います。
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SBクリエイティブ 学芸書籍編集部 渡邉勇樹
・アドラー心理学の第一人者が自身の「読書術」を書き下ろし!岸見一郎さんインタビュー