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『物乞う仏陀』でデビューしたのち、数々のノンフィクション作品を精力的に発表。そのなかで『レンタルチャイルド』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『漂流児童』など、子どもの問題を扱った作品も多数執筆してきた石井光太さん。
6月6日(木)、そんな石井さんが“子どもの悩み”に向き合い、具体的にどうすればいいのかを教育・児童福祉関係者に取材してまとめた『どうしたらいいかわからない君のための 人生の歩きかた図鑑』が日本実業出版社から発売されました。
子どもの悩みとは、たとえば……
・不登校になったら、進学できないかもしれない。そうしたら将来、社会で働くことができないかもしれない。
・妊娠してしまったかもしれない。誰にも言えないし、病院に行っても怒られそう。
・進学したいけど「お金がない」と言われたり、進学はできたけど「制服を買うお金がない」と言われたり……。「お金がない」はどうすればいい?
このような内容に対して、当事者や周囲の人々を丹念に取材し、相談機関の連絡先をまとめるとともに、総勢25名以上の“現場のプロフェッショナル”からのメッセージやアドバイスも収録しています。
章立ては下記のとおりです。
・はじめに
・Chapter 1:「学校」のなやみ …不登校、ひきこもり、発達障害など
・Chapter 2:「家庭」のなやみ …親の離婚・再婚、家庭内暴力、虐待など
・Chapter 3:「体」のなやみ …外見、妊娠、LGBTなど
・Chapter 4:「お金がない」なやみ …家が貧乏、不良・非行といわれるなど
・Chapter 5:「進路」のなやみ …進路、進学など(Chapter 1~4が原因で将来が描けない)
・この本を読んでくれた君へ
もう少し本の内容をくわしく知るために、「Chapter 1:『学校』のなやみ」の「不登校」のパートを見てみます。
十三万人――。
これは、不登校の小中学生の数だ。中学校ならば、一クラスに一人、不登校の子がいることになる。それだけ多くの子どもたちが同じ苦しみをかかえているということなんだ。(本書p.12より)
石井光太さんはこの書き出しに続けて、「不登校の生徒の80%以上は、途中で学校へ行けるようになって高校へ進学している」「有名になった人の中にも不登校だった人はたくさんいる」「一度立ち止まって、自分を見つめてみることは、きっといい結果をもたらしてくれる」と書いています。
それから、「自分でも不登校の理由がわからない」という人が意外に多いことも。
そんなとき、親や学校にどう伝えればわかってもらえるのか。
不登校の経験がある人は、そんなときどうしたのか、どうなったのか。
相談窓口にはどんな種類があって、どんな方法で連絡できるのか。
それらをやさしくおしゃべりしているような口調で書いています。
またこの「不登校」のパートには、“現場のプロフェッショナル”として、スクールソーシャルワーカーと小学校教諭の方がそれぞれメッセージを寄せています。
さらに“職業図鑑”として、不登校の経験がある人が現在どんな職業についているか、その職業にどうやってついたのかなども掲載されています。
最後の章「『進路』のなやみ」には、本書『どうしたらいいかわからない君のための 人生の歩きかた図鑑』を手がけた編集者の山田聖子さんと、ブックデザイナーの白畠かおりさんも登場。読んでみるとこのお二人も、それぞれに当時“どうしたらいいかわからない子ども”だったことがわかると思います。
「自分は一人ぼっちだ」「味方になってくれる人なんていない」と思っている人も、もう少し広くまわりを見て正しい情報を知れば、今よりも人生の選択肢が増えるかもしれません。
10代の子どもに向けて書かれていますが、これを子どものもとへ届けるために、まずぜひ大人の方に、手に取ってみてもらいたい一冊です。