'); }else{ document.write(''); } //-->
1.物事の上位概念(メタ)を考えて本質に迫り、再度具体的な問題に立ち返って案を出すことが「考える」ことといえる。「考える」ことは最強のスキルだ。
2.「考える」力を確立するには、「考える」「話す」「書く」の3つをサイクルとして確立することが重要だ。意識と知識が思考の両輪だが、あくまで主体は意識であるべきだ。
3.アフターオリンピックの日本では、信用が新たな取引のツールとなる。小さなコミュニティが乱立するフラットなヨコ社会が現れ、仕事は労働ではなく、コミュニティへの貢献へと性質を変える。
とにかく本質を考えろ。自分の頭で、本質を見抜いて、メスを入れる方法を考え出せ。それができれば、計算するだけのAIなんて怖くないし、1日3時間だけ働いておだやかに暮らすことだってできるようになる。これが本書のメッセージである。
本書は前半で、「考えるとはどういうことか」「どうやって考えたらいいのか」をおさえる。続く後半では、実際に著者が、2020年以降の世界について思考してみせる。そして、来るべき信用主義経済、マルチコミュニティという状況の中で生き抜く術を提示するという構成だ。
著者は「本書の役割は、読むプロセスを通して読者の意識を様々な方向へ誘うことだ」と述べている。確かにそのとおり、本書は一本道に読者を導くものではない。読者が自分なりの問題意識に必要ななにかを拾い集められるよう、豊かな森を現出させているような一冊だ。
本質をつかむために思考することは、なかなか骨が折れる作業だ。「1日3時間だけ働いて……」のフレーズに大いに魅力を感じてしまう要約者のような読者は、「お、けっこうたいへんだな」と思わざるをえない。しかし、急がば回れのことわざどおり、地道に「考える」ことこそ、自分らしい幸せな生き方を手に入れるための着実な道なのだ。そして「考える」ことは、素晴らしいことに、人間なら誰でもできる。本書を片手に、いっちょがんばって「考えて」みようではないか。