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  • 900年以上の時を超えてなお輝く 北宋時代の神品「五馬図巻」初の画集刊行!

    2019年04月26日
    知る・学ぶ
    羽鳥書店 編集 矢吹有鼓
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    (寄稿:羽鳥書店 編集 矢吹有鼓)

    中国・北宋時代を代表する画家、李公麟(りこうりん)をご存じでしょうか? そして、その代表作「五馬図巻」は? 日本ではあまりなじみのないこの画家と作品は、長い歴史を背景に、なかば伝説化して今に伝わってきたものです。

    その幻の「五馬図巻」を、初めて高精細なカラー図版で、しかも原寸サイズで再現した画集が、今年3月末に刊行されました。中国美術史の第一人者・板倉聖哲(いたくらまさあき)教授(東京大学東洋文化研究所)が編者をつとめ、くわしい解説を執筆されています。

    発売予告と同時に、真っ先に中国や台湾の読者から大きな反響がありました。日本の書店の海外店舗でも販売を開始していますが、中国の古美術専門ネット「展玩」や台湾の誠品書店でも取り扱いが決まり、国内に先んじて展開しています。

    李公麟「五馬図」
    著者:板倉聖哲
    発売日:2019年03月
    発行所:羽鳥書店
    価格:30,240円(税込)
    ISBNコード:9784904702758

     

    李公麟ってだれ? 「五馬図巻」ってなに?

    今年の1月から2月にかけて、東京国立博物館では特別展「顔真卿 ―王羲之を超えた名筆」が開催されました。台湾の國立故宮博物院が所蔵する、顔真卿(がんしんけい)筆「祭姪文稿(さいてつぶんこう)」が日本で初公開されたこともあって話題を呼び、中国をはじめ、海外からもたくさんの方々が展覧会に駆けつけました。

    なかでも“隠れた目玉”として注目された出品作が、李公麟「五馬図巻」です。実は、公開されるのは80年ぶりのこと。長らく行方不明になっていたからです。図巻には、書家として有名な黄庭堅(こうていけん)の跋文がつけられており、書の展覧会に出品されたゆえんですが、それ以上に、幻の存在とされていたこの絵自体の魅力が、多くの観客を呼びよせました。

    李公麟(1049?~1106)は残された作品も少なく、日本ではなじみのうすい画家です。しかし、中国古美術を学ぶ人にとっては歴史的に非常に評価の高い、白描画に秀でたたいへん重要な作家です。その李公麟の手による「五馬図巻」は、制作された同時代から「神品」として歴代王朝で愛蔵されてきました。

    編者の板倉先生による解説にはこうあります。

    中国風俗画の最高傑作として現在人気を博している北宋・張擇端「清明上河図巻」(北京故宮博物院)も、当時は無名の画院画家の手になる作品で、文人画観が主流となった元・明時代における評価は決して高いものではなかった。それに対して、この「五馬図巻」は南宋内府に所蔵され、元時代文人たちにとっては憧憬の的となり、清・乾隆皇帝(在位1735~1796)に愛蔵されたといった具合に、歴代王朝で「神品」として「君臨」し続けたものなのである。

    (『李公麟「五馬図」』収録テキスト、板倉聖哲「李公麟筆「五馬図巻」の史的位置」より)

     

    「五馬図巻」は歴史に翻弄され、日本へ

    「五馬図巻」は清王朝の終焉前後の混乱期に日本へわたり、昭和3年(1928)、昭和天皇御即位大礼の祝賀記念としてひらかれた展覧会で公開され、多くの識者の目に触れることになりました。その後、すみやかに重要美術品に指定されたものの、それ以降は表舞台から姿を消し、世界中がその在り処を探しながらも、約80年もの間、行方知れずとなっていたのです。

    中国歴代の激動と日本の戦中戦後の混乱をくぐりぬけ、「五馬図巻」は奇跡的な保存状態でふたたび姿を現しました。澄心堂紙(ちょうしんどうし)という、これ自体が研究の対象となる当時最高級の紙に描かれ、美しい彩色と流麗な墨の線で、見る人を驚かせます。現在、東京国立博物館に収蔵され、次に公にされる時まで眠りについています。

    幻の「神品」の出現は、中国・アジア絵画史にとって大きな発見であり、これまでの研究を塗りかえるだけでなく、今後の美術史にも多大な影響を及ぼしていくこととなるはずです。また、これを機に、李公麟「五馬図巻」の絵としての凄さを、ぜひ多くの方に堪能していただければ幸いです。

     

    画集もひとつの作品のように

    画集製作には、編者の板倉教授をはじめ、撮影(城野誠治氏)、デザイン(原研哉氏)、印刷、製本、すべての面で最高峰の面々が集結しました。

    製作の裏話もふくめ、李公麟「五馬図巻」の魅力を語り尽くすトークイベントが、板倉教授と、ナビゲーターとして橋本麻里さん(ライター、エディター)を迎え、代官山蔦屋書店で行なわれます。また、特別ゲストとして、装幀を手がけたデザイナーの原研哉さんも登場されます。

    『李公麟「五馬図」』刊行記念トークイベント
    ・登壇者 板倉聖哲氏/ナビゲーター:橋本麻里氏/特別ゲスト:原研哉氏
    ・日時 2019年4月29日(月・祝)19:00~
    ・会場 代官山蔦屋書店(東京都渋谷区猿楽町17-5)

    〉くわしくはこちら
    https://store.tsite.jp/daikanyama/event/humanities/6101-1833050409.html

    ※5月28日(火)には銀座 蔦屋書店にて、板倉教授と、若冲研究で著名な佐藤康宏教授(日本美術史研究)との対談イベントが開催予定。詳細は後日発表されます。




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