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2月19日(火)、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2019」の授賞式が開催され、各賞の発表とトークセッションが行なわれました。
授賞式では「イノベーション」「マネジメント」「政治経済」「自己啓発」「リベラルアーツ」「ビジネス実務」の各部門と総合グランプリの受賞タイトルを表彰。
トークセッションでは、イノベーション部門を受賞した『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語』の著者・田中修治さん、『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』それぞれの編集者が登壇し、インタビューが行なわれました。
『破天荒フェニックス』は、メガネチェーン店「オンデーズ」の社長である田中さんが、大赤字だったオンデーズを立て直していく過程に起きたことを元に自らが描いたビジネス小説。
30歳のときに、14億の負債を抱え、誰からも「絶対倒産する」と言われていたオンデーズを買収した田中さん。そんな選択肢をあえて選んだ理由については、「当時は貯金もないし、結婚もしてなかった。失敗しても失うものが何もないんだったら、やるだけやったほうが人生おもしろいと思った」と語りました。
しかし、買収後は何度も資金がショートしそうになったり、騙そうとする人が近づいてきたり、信じられないような困難が次々と田中さんを襲います。
まるで池井戸潤さんの企業小説のようなドラマチックな展開をみせる本書ですが、「一応フィクションなんですけど、書いてあることは実際にあったこと。いや、本当はもっとひどかった(笑)」とのこと。
『破天荒フェニックス』というタイトルについては、原稿ができても最後の最後まで決まらなかったそうです。
「案を100個ぐらい作って、そこから10個ぐらいにしぼって表紙のイメージに当てて、見た目のインパクトで決めた。『破天荒』『フェニックス』なんて単語は本文中になかったので、後から原稿に盛り込んで帳尻を合わせた」と、驚きの誕生秘話を語りました。
このタイトルのせいで、出版以降「破天荒社長」と呼ばれるようになり、インタビューでも破天荒なエピソードを求められるそう。しかし、「実は自分はまったく破天荒じゃない。お酒もタバコもやらないし、食事はオーガニック志向。朝8時に起きて、夜10時に寝る」とプライベートを明かしました。
また、この本を読んでほしい人については、「やはり経営者の方。『人生いいとこ取りはできないので、騙されるリスクも許容してやっていけば、10回に1回はよいことが起きる』ということが伝われば」と語りました。
『破天荒フェニックス』の詳しい内容はこちら
・「絶対に倒産する」と言われた会社を買収した30歳新社長による地獄の再生物語『破天荒フェニックス』【総合3.8点】
続いての編集者トークセッションには、総合グランプリと政治経済部門賞を受賞した『the four GAFA』の編集担当である東洋経済新報社の桑原哲也さんと、ビジネス実務部門賞を受賞した『1分で話せ』の編集担当であるSBクリエイティブの多根由希絵さんが登壇しました。
『the four GAFA』は、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)が創り変えた世界の姿と、彼らがもつ“別の顔”、これから世界がどのように変わっていくのかを描いた1冊。
桑原さんは自身が手がけた『the four GAFA』が売れた理由を次のように分析しています。
1.タイミング
グーグルやアマゾンなどへの評価が変わり始め、GAFAという言葉がメディアでよく取り上げられ、注目が高まってきた時期に出版できた。
2.中身
これまでよいと信じてきたものが必ずしもそうではないというような、世界の見方がガラっと変わるような内容が書かれている。
3.読みやすさ
著者スコットさんの語り口が独特でユーモアがある。
次に、ベストセラーを作る秘訣について問われたところ、「社内外にいる想定読者にいろいろと意見を聞いてみて、どのようなイメージで打ち出していくのかを最初の段階で固めることが大事である」と述べました。
ちなみに、『the four GAFA』はGAFAをヨハネの黙示録の四騎士にたとえているのが特徴で、日本版オリジナルで「四騎士とは何か」がわかるようなイラストが掲載されています。まさにそのイラストを掲載するかどうかを、想定読者へのヒヤリングで決定したそうです。
また、発売後には、まずGAFAという言葉を知ってもらうために、書籍とは直接関係なくても構わないので、いろいろな著名人にGAFAについてのインタビューを行ない、自社のサイトに記事を掲載したとのこと。
そのおかげで、GAFA関連のニュースがTVや新聞に増えてきたタイミングには、それらの記事が「GAFA」と検索するとたくさん出てくるようになり、そこに『the four GAFA』の書影があるという状態を作ることができたそうです。
最後に、これから作っていきたい本については、「その本をきっかけに新しいジャンルの棚ができるような本を手掛けてみたい」と夢を語りました。
『1分で話せ』は、孫正義さんも認めた“プレゼンの達人”である、著者・伊藤羊一さんが、1分間で〈伝えて〉〈その気になってもらって〉〈動いてもらう〉ための極意をわかりやすくまとめた1冊。
担当編集の多根さんは、「『短く話す』ことがテーマのベストセラーは何度も生まれていて、ずっとニーズはある。しかし、逆に何度も出るということは、その内容が読者にわかりづらかったのではないか」と考えていたとのこと。
そして、著者の伊藤さんにお会いしたときに、これまでで一番わかりやすく「話し方」について解説してくれたので、「これなら誰でもできるのではないか」と思い、本書を企画したそうです。
また、『1分で話せ』というタイトルについては、「書店の棚を見ると、ビジネス書の表紙が文字だらけという印象があって、短いほうがインパクトがあって目につきやすいと思った」とのこと。ただ、伊藤さんは「自分は『1分で話せ』なんて言ったことはない」とおっしゃっていたそうです(笑)。
ベストセラーを生む秘訣については、「『読者がなぜこの本を手に取るのか』を1回1回考え抜いてやることが大事」とコメント。
ちなみに、『1分で話せ』の場合は、「自分では上手くしゃべれていると思っているけど、実は話が長い人」もターゲット読者にしたそうです。本人も気がついてない、可視化されていないマーケットを掘り返すのもベストセラーの秘訣なのかもしれません。
最後に、これから作っていきたい本について、「自分を一旦リセットして、新しいものを生み出していきたい。『学問のすゝめ』のような、長く読み継がれる本を作っていきたい」と語りました。
『1分で話せ』の詳しい内容はこちら
・プレゼンのロジックは「1つの結論」と「3つの根拠」のピラミッドで作る!『1分で話せ』【総合4.0点】