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「学生時代に英語は勉強したけれど、外国人を目の前にすると、簡単な一言すら口に出てこない」
「TOEICのスコアは良いのに、いざ英会話となると、頭の中で英作文するのに手間取って会話がスムーズに進まない」
英語学習者の間でよく聞く、このような「ある程度英語の知識はあるのに、スラスラと話せない」という声。
そんなお悩みの解消法を探るべく、海外留学経験なしに「瞬間英作文トレーニング」という独自のメソッドで英会話をマスターし、現在はご自身の英語教室で多くの生徒を指導されている森沢洋介さんにお話を伺いました。
森沢洋介/英語教師
1958年神戸生まれ。9歳から30歳まで横浜に暮らす。青山学院大学フランス文学科中退。大学入学後、独自のメソッドで、日本を出ることなく英語を覚える。予備校講師などを経て、1989~1992年アイルランドのダブリンで旅行業に従事。学習法指導を主眼とする六ツ野英語教室を主宰。TOEICスコアは985点。著書に『英語上達完全マップ』『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』などがある。
――森沢先生ご自身、これまでさまざまな英語の学習法を試されてきたと伺っています。
そうなんです。大学生になってから本格的に英語を勉強し始めたのですが、20代はいろいろな学習法の間で迷走しました。当時、予備校で英語の講師をしていたので、大学受験レベルの英語は理解・整理ができていたんです。それでも、話そうとすると手間取ってしまって、持っている知識の数分の一も口に出てこない状態でした。
――日本人の英語学習者によくあるパターンですね。
はい。そこである時思い立って、簡単な英文を機械的に大量に作るトレーニングを始めたんです。英文を作る反射神経を養う方法として知ってはいたのですが、単調そうで、実はそれまで敬遠していました。
ところがいざ試してみると、無味乾燥な暗記作業とは違って、ゲームのような面白さを感じたんです。そして結果的に、自分の中に蓄積されていたものが流れ出す、いわば水道の蛇口をひねる効果がありました。
――それが、先生が「瞬間英作文トレーニング」と名付けられた学習法ですね。この方法は、どんな学習者が試しても効果があるものなのでしょうか。
「話せるようになる」という効果が出るのは、英語の基礎知識がある程度、蓄積された人です。スピーキングは、身に付いている知識の半分くらいしか実践の場で使えない、というスキルです。従って、話したい英語のレベルの、倍くらいの語彙、表現、文法知識を蓄積しておく必要があるんです。
――なるほど。「瞬間英作文トレーニング」はリスニング力、リーディング力のアップにも役立つ、と聞いたことがあります。
はい。このトレーニングで基本文型を自由に扱えるようになると、英語がより立体的に、明瞭に聞こえるようになったという声を生徒からよく聞きます。英文の処理能力が上がるため、リーディングのスピードも上がりますし、一文一文をより的確に理解できるようになります。
――それはうれしい効果ですね。
――私も「瞬間英作文トレーニング」を少し試してみたのですが、「これは良い本です」「この辞書は良い」と言ったシンプルな例文をスピーディーに大量に英作文して、その後、音読や暗唱を繰り返して英文を“口に落ち着ける”、というのが一連の流れですね。単調で飽きてしまわないか、という心配もあるのですが……
確かに地味なトレーニングです(笑)。でも、外国語をものにする過程では、必ずこういった地道な努力も必要です。私の教室の生徒を見ていても、それを理解している人は地味なトレーニングを厭いませんし、必ず、効果を上げていますよ。
――頑張ります! 「瞬間英作文トレーニング」を英語学習に取り入れる場合、少しずつ継続的に取り組めば良いのでしょうか?
そのようなスタイルでも無意味とは言いませんが、私はむしろ、短期集中で取り組むことをお勧めします。できれば半年、長くても1年で、英語の知識を運用できる“回路”を作ってしまうのです。
英語を話すためには語彙や表現を豊かにする必要があり、その作業には終わりがありません。まずは早めに“回路”を作り、新しい語彙・表現をストックしていくことに注力するのが、理想的なトレーニングの進め方でしょう。「瞬間英作文トレーニング」はあくまで助走と考えてください。
――先生は「瞬間英作文トレーニング」では「暗記しようとしてはいけない」とおっしゃっていますね。
意識的に、強引に暗記しようとしないでほしい、という意味です。例えば学校の試験前に遮二無二暗記したことは、短期・中期記憶として終わりがちで、外国語を自由に操る力を付けるためにはほとんど役立ちません。
「瞬間英作文トレーニング」では、学校への道順や友人の顔を覚えるときのように、繰り返しによる刷り込みを行ない、長期記憶を作ることを目指します。初めは文字面を覚え、トレーニングを繰り返す中で次第に文型や意味を深く理解し、間違えたら修正する。
これらのサイクルを繰り返して潜在意識に入れてしまいます。時間は掛かるかもしれませんが、こういう方法で初めて、瞬時にアクセスできる記憶が作られます。
――市販の英語教材に加えて、インターネットを介して英語に触れるさまざまな方法もある現在、「どの教材、学習法がオススメなんだろう」と迷う方も多いと思うのですが。
そうですね。英語でコミュニケーションを楽しむ段階に達するためには、いろいろなコースをたどる方がいらっしゃると思います。けれどいずれの場合でも、「ブロークンイングリッシュで良いや」という方でない限り、基本文型を身に付けることは必須です。
「瞬間英作文トレーニング」は、それを最短距離で可能にする方法なのです。このトレーニングで助走した後、“語彙”“慣れ”など、英会話に必要な要素を身に付けて行なっていただきたいと思います。
――ネイティブレベルに達するには、いろいろな努力が必要なのですね。
「ネイティブレベルの英語を話せるようになりたいのに、いくら頑張ってもそうならない」と落胆してしまう人がいます。でも、日本で育った人がある程度の年齢になってから英語を学ぶ場合、“ネイティブスピーカー並みの英語”を身に付けるのは不可能でしょう。発音や語彙の量など、どうしても乗り越えられない壁があります。
私たちが目指すのは、いわば等身大の、“疑似英語”で良いじゃないか、と生徒には言っているんです。肩の力を抜いて、身の丈に合った目標を目指すことも、学習を継続する上で大切なことですよ。
――少し気が楽になりました(笑)。森沢先生には中学英語の基本文型を身に付けるための『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』、これらの文型をシャッフルして応用力や反射神経を高める『スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング』、などのご著書がありますね。トレーニングはこの後、どのように続けたら良いのでしょうか?
続く第3ステージとして、中学英語の枠を外した文法、表現を習得し、中でもget、have、comeなどの基本動詞を使いこなすことを目指す『バンバン話すための瞬間英作文「基本動詞」トレーニング』があります。
このステージになると、トレーニングの比重は“瞬間英作文回路の強化”から“表現の拡大”に移ります。終わりがないので、ご自身の目的や目標レベルに合わせて、教材や学習法を工夫されると良いと思いますよ。
スピーキング力はキープにも努力がいるので、例えば私の『どんどん話すための〜』をウォーミングアップ用に使っていただくのも一案です。
――英作文の反射神経を高める時期、語彙力を強化する時期など、メリハリをつけながら息長く学習を続ける必要があるのですね。本日はお忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。