• fluct

  • 話題のビジネス書『アウトプット大全』はどうやって生まれた?精神科医・樺沢紫苑さんのルーツに迫る

    2018年11月06日
    知る・学ぶ
    ほんのひきだし編集部
    Pocket

    スープカレーブームの火付け役となり、インターネットのすごさを実感

    アメリカで執筆し、大成功を収めたメルマガ「シカゴ発 映画の精神医学」。しかし、実はこれ以前にも彼はずっと情報発信を繰り返してきた。いってみれば、彼の半生は「アウトプット人生」そのものだ。

    「アウトプットというものを初めて意識したのは、『月曜ロードショー』の解説をしていた荻昌弘さんです。特徴的なことはないけれど、優しい口調で、正論をわかりやすくいってくれる。彼の解説をカセットに録音し、文字に書き起こしたこともあります。小学6年生のときです。どういう論点で解説が構築されているのか、分析するんです。思えば、私のアウトプット人生はここから始まりました」

    映画評論家への憧れは強く、大学時代は『キネマ旬報』に投稿して常連のように掲載され、映画の同人誌にも参加していたという。

    一方、インターネットのホームページとの出会いは1998年。富良野の病院に着任した初日、院長の部屋へあいさつに行くと、パソコンの画面を見せられた。

    「『君、これを見なさい。うちの病院のホームページだけど、私がつくったんだよ。君もなんかつくってみれば?』と。帰ってから、北海道でホームページを持っている病院を調べてみたら、20ぐらいしかない。精神科だと2つぐらいでした。最先端ですよね」

    次の週末、当時、Windows98に標準搭載されていた「FrontPage98」というソフトを使い、さっそくホームページ制作に没頭。

    それまで書きためていた「スター・ウォーズ」に関する記事を活用し、1日かけて10ページ程度の自作ホームページが完成。「ホームページっておもしろいな」と実感する。

    その数年後、デジカメが安価で出回るように。樺沢さんもさっそく入手し、好きで食べ歩いていたカレーを撮りためていく。

    そのうち、「自分だけで見ていてもつまらないからシェアしよう」と、日記のような意味合いも込めてカレーのホームページを立ち上げる。

    そして、これが2004年に、札幌に一大スープカレーブームを巻き起こすことになる。

    「『誰も読まなくてもいいから』という気持ちでいたのですが、案の定、誰も読んでくれない(笑)。それなら毒舌で書いてやろうと、何も気にせずガンガン書いていたら、『それがおもしろい』と人気になったんです。多いときで、1日に3000PVはありました。3000というとあまり多くないように思われるかもしれませんが、ほぼ札幌限定ですからね。1%の人がお店に行ったとしても30人ですから、私が紹介した次の日には行列ができているということもありました」

    きっかけはひとつの個人ホームページに過ぎない。しかし、そこから本の出版、テレビ局からの取材と、あれよあれよという間につながっていく。「インターネットってすごいな」と思った瞬間だった。

    「医者はたいてい、論文作成などのためにパソコンを持っているので、スキルはありました。普通だったら、ホームページをつくろうと思っても技術的な壁があるものですが、その点はラッキーだったと思います。さらにさかのぼると、高校時代は無線部だったんです。なので機械には強い。もともと好きなこと、適性があったんでしょうね」

     

    「アウトプット人生」に、ようやく時代が追いついてきた

    帰国後は、作家を本業とすることに。現在は、月に数回程度、医師として病院にも勤務しながら、「日本一、情報発信する精神科医」として精力的に活動。メルマガ、Facebook、YouTubeでの発信を定期的に続け、年3冊のペースで書籍を発行している。

    その一方で、月10本以上の映画鑑賞、月20冊以上の読書も欠かさない。

    1冊の本が出版されるまでの流れは、当初は自分で企画書を書き、それを出版社に提案していたが、今はそのスタイルを改めたという。

    「どうも、私は早過ぎるようで(笑)。2016年に出した『脳を最適化すると能力は2倍になる』(文響社)という本は5万部売れたのですが、実はこれ、2010年に出した『脳内物質仕事術』(マガジンハウス)とほとんど同じ内容なんです。『脳内物質』という言葉を初めてタイトルに使った本でしたが、あまり売れませんでした。いまでこそ脳科学ブームですが、当時は先取りし過ぎていたんでしょう。私としては、ようやく時代が追いついてきたという感じです」

    同様のケースをいくつか経験し、「自分からは企画を出さず、編集者から提案されたものをやろう」というスタンスに。

    「出さないだけで、文章化した企画は何十個もストックしています。その中にあるアイデアを編集者さんが持ってきたら、時代としても求められているということ。『では一緒にやりましょう』という流れになります。『よく気づいたね』と(笑)」

     

    チャンスの多い時代だからこそ、インプットとアウトプットが重要

    2018年8月には28冊目の著作となる『学びを結果に変える アウトプット大全』を出版。

    「これも編集者さんのご提案に乗った形です。アウトプットのことを書きたいという構想はありました。2015年に出して15万部売れた『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)も、考えてみたらアウトプットの本ですが、もしタイトルを『アウトプット読書術』にしたら売れなかったと思います。今は、小学校でアクティブラーニングが導入されたり、学校の授業にディベートを取り入れたり、アウトプットという言葉こそ使わなくても、世の中全体がそういった方向へ向かっていますよね。自分は、一貫してアウトプットの重要性を伝えてきましたが、ようやく時代がマッチしてきたなというのが実感です」

    『アウトプット大全』は図解も豊富で、樺沢さんも「今までの私の本の中でいちばんわかりやすい」と胸を張る。出版に際して行なわれた500人が集まったセミナーも大盛況だった。

    「私の集大成となる本。ビジネス書50冊以上の内容が入っているといっても過言ではないでしょう。ビジネスマンが抱えている悩みの90%くらいをフォローできると思います」

    さて、作家としての今後を問うと、「精神科医らしい本を世に問おうと思っている」という回答。

    「集大成となる本も出しましたし、時間術や仕事術に関しては一通り書いたので、当面、ビジネス書はもういいかなと。これからは予防医学をベースにしつつ、もっと、心の問題や生き方に沿った本を書いていきたいですね。それも、20代、できれば10代といった若い世代に伝えていきたい。若い頃からそういった知識があれば、人生は相当変わります」

    YouTubeはもちろん、4コマ漫画も駆使するなど、若い人にリーチする取り組みも積極的に行なっている。

    「将来を悲観する若者は多いですが、これからは技術が飛躍的に進歩していくので、既成の価値観は通用しなくなる。有史以来、チャンスが最も多い時代なのに、みんな気づいていません。だからこそ、自分が何をすればいいのかを探るために、自分磨きをしていくことが重要なのです。インプットとアウトプットをし続けることで、自分の方向性に気づけるはずです」

    学びを結果に変えるアウトプット大全
    著者:樺沢紫苑
    発売日:2018年08月
    発行所:サンクチュアリ出版
    価格:1,595円(税込)
    ISBNコード:9784801400559

    ※本記事は、サンクチュアリ出版WEBマガジンに2018年8月31日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。 

     

    関連記事

    仕事ができる人がやっている「圧倒的に結果が出るアウトプット術」




    1 2
    タグ
    Pocket

  • GoogleAd:SP記事下

  • GoogleAd:007

  • ページの先頭に戻る