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職場、恋愛、友人同士など、あらゆる人間関係につきものの「嫉妬」。その嫉妬に刺激され、私たちを悩ませる劣等感。誰でもこの2つの感情に苦しめられた経験があるのではないでしょうか。
『消したくても消せない嫉妬・劣等感を一瞬で消す方法』は、そんな嫉妬や劣等感が起こる仕組みから対処法までを、脳科学の観点から教えてくれる一冊です。著者は、人気心理カウンセラーの大嶋信頼さん。本書は『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』シリーズの第3弾で、漫画版を含めたシリーズ4冊の累計は25万部となっています。
そんな本書について、著者の大嶋さんと、編集を担当したすばる舎の林さん、販売担当の野村さんに、くわしくお話を伺いました。
(左から)
すばる舎 営業部 次長・販売管理課リーダー 野村尚輝さん
インサイト・カウンセリング 代表取締役 心理カウンセラー 大嶋信頼さん
すばる舎 編集部 副編集長 林えりさん
――今回、「嫉妬・劣等感」をテーマにされたのはなぜですか?
大嶋 このシリーズを書き始めたのは、私の本を読んだ林さんから「一緒に本を出しませんか?」とアプローチされたことがきっかけです。実は1冊目の『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』で扱った“他人に振り回されている状態”にも「嫉妬」は絡んでいて、本を作っていくうちにそのことが浮き彫りになったので、今作では「嫉妬」をテーマにしたんです。
――“振り回される”というと「本人に意思がない・もしくは意思が弱い状態」をイメージしますが、それにも嫉妬が絡んでいるんですか。
大嶋 その人に対して、相手が嫉妬しているのが原因なんです。そもそも人間関係は嫉妬に影響される部分が大きくて、嫉妬されているから、足を引っ張られたり悪口を言われたりする。それで他人に振り回されてしまうんです。つまり「振り回されやすい人」というのは、嫉妬されやすい人ということなんですよ。
――嫉妬って、「うらやましい」と思うことですよね? うらやましがられる人が“振り回されやすい人”というのは、どういうことなんでしょう。
大嶋 本書を作る過程でもうひとつ見えてきたのが、「嫉妬の法則」です。嫉妬というのは、自分より格下だと思っている存在に対して起こるんですよ。たとえば「後輩が自分より優秀である」「自分より周りからちやほやされている」など、格下の存在が自分よりも優れたものを持っている、あるいは恩恵を受けているという条件で嫉妬は起きます。
この条件は、親子間にも当てはまります。「子どもが自分の知らないことを知っている」とか、「子どものほうが正しかった」などというとき、相手をむやみに傷つけたり責めたりするような言葉を投げつけてしまう。これは親が子どもに対して、自分でも気づかないうちに嫉妬しているんですね。
カウンセラーをやっていても、たとえば子どもをカウンセリングに連れてきた母親自身が、しばらくすると「なんであんなところに行くの? あんなところ、行かなくていいじゃない」と言い始めるんです。これは母親である自分よりもカウンセラーが子どもに影響を与えていること、また“自分が守らなければ”と思っている子どもがたくましくなっていることが原因で、嫉妬しているんですね。
――それに母親自身が気づいていないというのが、やっかいですね。
大嶋 嫉妬って、無意識に起こってしまう“発作”なんですよ。それを止めるためには、本作で書いたような手法が必要になります。
(本書P53より)
――本書ではまず、「どうして嫉妬してしまうのか」という仕組みから解説されていますね。身近な例がたくさん書かれているので、自分の中の「嫉妬」と客観的に向き合う手助けになりそうです。
大嶋 先ほど述べたように、「嫉妬というのは常にわざとやっているものではない、“発作”である」という点が一番のポイントです。発作というのはつまり、無意識的に起きる、動物的な反応ということ。「どうしてアイツばかり」「許せない」という衝動に駆られることで、人は破壊的な人格に変身していまい、それが「脳のネットワーク」で相手に伝わってダメージを与えてしまうんです。
――「脳のネットワーク」とはどういったものですか?
大嶋 脳の中にはミラーニューロンという、「人の行動をまねする」神経細胞があります。これは他人の動作を見て、まるで自分が同じ行動をとっているかのように「鏡」のような反応をすることから名付けられました。
たとえば誰かがひどく緊張していると、周囲の人にまで伝わってしまうでしょう。このように、脳は意識しなくてもいつもいろいろな人とつながっていて、自分にとって悪い情報も流れ込んできます。本シリーズでは、この「人間の脳と脳は現代の科学では計測できない周波数で、お互いにコミュニケーションをとっている」という仮説を、「脳のネットワーク」と呼んでいます。
――こういった感情の問題に、脳科学の面からアプローチされているんですね。
大嶋 脳の仕組みから考えたほうが問題の構造がよくわかるし、治しやすいと考えています。僕はアルコール依存症の治療からカウンセリングの世界に入っているのですが、「なぜ患者さんがお酒を飲むのを止められないのか」については、専門家でもあまりわかっていないんです。僕たちはこれを発作だと捉えて、それをどう止めたらよいか、発作の遺伝子を見つけます。
たとえば恋人に暴力を振るってしまう人がいたとします。普段はすごくおだやかな性格なのに、恋人と一緒にいると形相が変わって腕に噛みついたりする。これは「優しくされると発作を起こす」という遺伝子の仕業です。性格の問題だとすると「内省して自分が変わらなければ治らない」となるけれど、現実にはなかなか難しいですよね。脳の問題による発作として外在化することで、人は変わりやすくなるのではないでしょうか。
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