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5月24日(木)、「ビジネス書大賞2018」の受賞作が発表されました。
大賞を受賞したのは、ナイキの創業者であるフィル・ナイトさんが自ら創業秘話を綴った『SHOE DOG 靴にすべてを。』。発売1か月で13万部突破という、翻訳本としては珍しい売れ行きを見せた一冊です。
「ビジネス書大賞」は企業経営者、書店員、書評家、ブロガー、出版社担当者のほか読者も参加し、ここ1年間に発売された本から「日本のビジネスパーソンの成長、ひいては日本の産業界の発展に寄与するもの」を選ぶもの。
ナイキの創業に日本のスポーツシューズメーカー「オニツカ」が深く関わっていることもあり、受賞を機に日本国内でもますます読者を拡大しそうです。
選評
・ビジネスの現実は、論理できれいに割り切れるものではなく、予想もつかない出来事の連続だ。ナイキという優れた会社の創業期においても、隠された〝成功の方程式〟なるものではなく、泥くさく、予想もつかない困難な現実に果敢に対処し続けていくことこそが成功の原動力であった――その事実が、勇気と大きな学びを与えてくれる。・経営者自身が語ることのパワーを感じさせられた1冊。ケーススタディからそのエッセンスを整理して学ぶことも大切だが、それ以上に当事者本人が語る生々しい回想が貴重であることを迫力ある筆致で教えてくれた。
また準大賞には、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』『隷属なき道』の2作が決定。審査員特別賞には『お金2.0』が選ばれました。
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』は、副題にもあるとおり、経営におけるアートとサイエンスについて書かれた一冊。「美術館のギャラリートークやアートスクールに参加する人の顔ぶれが変化しており、その多くが企業幹部候補やエリートである」という事象を切り口に、不確実で曖昧な現代において科学的なアプローチがもはや限界を迎えていること、各個人が“内なるものさし”として美意識を持ち、鍛えることの重要性を論じています。
選評
・経営におけるアートの大切さを訴えたのは、本書が最初ではないが、コンサルタント出身の著者が解説したからこそ、多くのビジネスパーソンに影響を与え、また人によっては議論になるほどの違和感を感じさせているのではないか。ビジネスにおけるアートの大切さを学ぶ上での入り口を作ったこと一つをとっても高い評価に値する。
一方の『隷属なき道』は、“ピケティにつぐ欧州の新たな知性”と呼ばれるオランダ人ジャーナリスト、ルトガー・ブレグマンさんによる啓蒙書。
「人類が直面する最大の問題は、人間がAIとロボットとの競争に負けつつあること。その結果『中流』が崩壊し、貧富の差は有史上もっとも広がる」としたうえで、これに対する“処方箋”として「ベーシックインカム(=無条件で定期的に、全員に一定の資産を分配する)」「労働時間を週15時間にする」「国境線を開放する」という斬新な提案をし、世界中から反響と共感を得て23か国以上での出版が決定しました。
邦訳版は昨年5月に発売され、『サピエンス全史』をはじめ『未来の年表』『人工知能と経済の未来』などとともに読まれています(※日販 WIN+調べ)。
選評
・説得力あるデータに基づいた言説を読み進めるうちに、その概念と政策が当たり前のものとなる世の中を夢想してやまない自分自身がいた。今の世の中に対する閉塞感を一度でも感じた読者にとって未来への羅針盤となりうる1冊だ。・ベーシックインカムに対する見方が本書で変わった。大きな固定観念を崩しにいこうという意思を持って、幅広いリッチな論拠を展開しているのが魅力だ。多くの人が手軽に読めるといったものではないが、ぜひ政策にかかわる人たちに読んでもらいたい。
審査員特別賞を受賞した『お金2.0』は、「日本を救う起業家ベスト10」(フォーブス誌)にも選ばれた株式会社メタップス創業者・佐藤航陽さんによる著書。昨年11月に発売された“新しいお金の教科書”ともいえる一冊です。
発売以降重版を繰り返し、読者を拡大したことで、次第にその構成が変化。発売直後は男性読者が中心でしたが、現在の読者は女性読者が約3割にまで増えています(※日販 WIN+調べ)。
選評
・資本主義への疑問、価値主義の提案自体は目新しいことではないが、お金、金融、経済、資本主義といった基本的な事柄を中心に、その意義や重要性の変遷を解りやすく説明しており、教科書として、極めて優れている。・現在の資本主義のもとでは、結局は、お金に収斂されてしまう価値観、幸福感に対し、新しい動き、静かな革命とも言える変化が起こっていることが、ポジティブな未来として描かれている。内容もさることながら、そこに、著者の人生、ひとりの人間としての思いを感じることができる。
※選考方法について
2017年1月から2017年12月刊行のビジネス書を対象に、ビジネス書に造詣の深い企業経営者、書店員、書評家、ブロガー、
メディア関係者、読者による一次投票を実施。上位10作品をノミネート作品とし、これらをすべて読んだうえで最終選考会を実施、大賞および各賞を決定した。
・『MBA100の基本』(グロービス、嶋田毅/東洋経済新報社)
・『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(佐藤航陽/幻冬舎)
・『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』(西野亮廣/幻冬舎)
・『「原因と結果」の経済学 データから真実を見抜く思考法』(中室牧子、津川友介/ダイヤモンド社)
・『SHOE DOG 靴にすべてを。』(フィル・ナイト/東洋経済新報社)
・『スタンフォード式 最高の睡眠』(西野精治/サンマーク出版)
・『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(山口周/光文社)
・『漫画 君たちはどう生きるか』(吉野源三郎、羽賀翔一/マガジンハウス)
・『未来の年表』(河合雅司/講談社)
・『隷属なき道』(ルトガー・ブレグマン/文藝春秋)
〉昨年の受賞作・ノミネート作を見る
https://hon-hikidashi.jp/know_learn/28884/
〉ビジネス書大賞公式サイト
http://biztai.jp/
・西野亮廣『革命のファンファーレ』が「読者が選ぶビジネス書グランプリ2018」総合グランプリに決定