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第2話・第3話で書店さんや編集者さんのお話を聞いた夢眠ねむ。「次は本を売るための宣伝の話を聞きたい!」ということで、谷崎潤一郎のイベントにキャスティングしていただいた中央公論新社の東山さんにお話を伺いました。
東山 健 中央公論新社 営業局 宣伝部副部長 兼 第一販売部
PROFILE
出版販売会社を経て、30歳で中央公論新社に入社。新聞、SNS、交通広告、映像化イベントの主催など、書店でより売れるためのプロモーションをと、日々頭をフル回転させています。
夢眠ねむ(以下、夢眠):実は「夢眠書店を作ろう!」という今回の企画、東山さんがキャスティングしてくださった「TANIZAKI MY LOVE 谷崎潤一郎メモリアル2015」がきっかけなんですよ!
TANIZAKI MY LOVE 谷崎潤一郎メモリアル2015
谷崎潤一郎賞創設50周年を記念した、同賞を昨年受賞した奥泉光さんら、谷崎作品を愛する作家とアイドルによるトークショーイベント。阿部和重さん、川上未映子さんのほか、でんぱ組.inc.夢眠ねむさんが出演。4月8日によみうり大手町ホールで開催された。
東山 健(以下、東山):光栄です。「TANIZAKI MY LOVE」の何がきっかけになったんでしょう?
夢眠:イベントの時、関係者の方や取材してくださった方が「本のことを好きでいてくれてありがとう」と言ってくださったんです。出版社の方の「本を手に取ってほしい」という気持ちからそう言っていただけたのかなと思ったら、本のために私も何かしたいと思ったんです。だから、きっかけを作ってくれた東山さんは結構なキーパーソンですよ!
東山:そうだったんですね。あのイベントは、今年が谷崎潤一郎の没後50年だということで開催したんですよ。中央公論新社は創業年が谷崎潤一郎の生まれ年と同じ(1886年)だったり、代表作を「中央公論」本誌や「婦人公論」などに執筆していただいていたりと、深いつながりがあるんです。そこで、谷崎のイベント運営の話が宣伝部の僕のところにきたんです。でも谷崎潤一郎って、今の若い子はあまり読んだことがないだろうなぁ……と。
夢眠:教科書で読むレベルとか、本当に文学少女・少年は好きみたいな。やっぱり本を読む人の中でも、ほんの一部の「ちゃんと本を読む人」が読むイメージでした。
東山:そうなんですよね。谷崎潤一郎賞を受賞された作家の方々に谷崎について語っていただくという企画がまず決まっていたのですが、さらに若い読者にたくさん来てもらえるようなアイディアはないかなと考えていたんです。そのとき、「ねむちゃんっていう本が好きなアイドルがいる」という話を聞いたんです。
夢眠:本は大好きです(笑)。
東山:それで、さっそくいくつか企画を練って、でんぱ組.incの渋谷のライブ最終日に行ったんですよね。初めてお会いした時に何冊か中公の本をお渡しして、ものすごく喜んでくださったのを今でも鮮明に覚えています(笑)。
夢眠:「本だ本だ!」って喜んでいましたね。
東山:今はなかなか本が売れないご時世だから、若い人が本を読んでくれていると、僕みたいな出版業界の人間はテンションが上がるんです。
夢眠:「おお、次世代が読んでるぞ!」みたいな?
東山:そうですね。だから、ねむさんみたいな方に、本の面白さを「その人のフィルター」を通して伝えてもらいたいと強く思ったんです。出版社が用意した台本を「言わせている」感じにしてしまったら何も伝わらないので、きちんとアイドルとして活躍されて、かつ本にも精通されているとお聞きして、すばらしいなと思ったんです。
夢眠:ただ本が好きなだけなんですけどね。
東山:本をお渡ししたときのねむさんの反応で「これは大丈夫だ、間違いない!」と確信しました。とても僭越ですけれど、ここで決めようと思ったんです。
夢眠:ありがとうございます!でも、偉い方や谷崎作品にがっつり関わっている方からは「誰!?」って思われたんじゃないですか?
東山:「でんぱ組.incのメンバーですよ」と言ったら、「あっ、そのグループ名は聞いたことある」という反応でした。
夢眠:本当ですか!?そこまで漕ぎつけられていたならよかったです(笑)。
東山:でも夢眠ねむさんがどんな方なのかまでは、正直上の人間は知らなくて。
夢眠:どこの馬の骨かも分からないのに、よく採用してくださいましたね……。
東山:ただ本が好きだというだけでなく、リアクションから昔から色々な本を読まれているのが感じられましたし、コミュニケーション能力もズバ抜けて高いので、この方だったら大御所作家とのトークも自然にできて、聞いているお客さんが喜ぶだろうなと思ったんですよ。
夢眠:いやー、ほめられてる!(照)
東山:中央公論新社にはないファン層を、でんぱ組.incや夢眠ねむさんというキャラクターは抱えていらっしゃるので、老舗出版社の歴史とアイドル・ねむさんの魅力が出会うという、今までにないイベントにできるだろうと確信していました。
夢眠:ありがとうございます。
東山:実は、谷崎潤一郎の作品を担当しているベテラン編集者をどうやって説得するかが一番の心配の種だったんですが、会議の場で、その編集者がぽつりと「夢眠ねむさんって、名前がいいよね」と言ったんです。「夢に眠るって書くんでしょ」って。
夢眠:あははは!
東山:「谷崎のイメージにものすごく合うよね」と言っていました。
夢眠:そこで引っかかってくれたんだ!よかったー!夢眠ねむで!
東山:その編集者の反応は、僕も予想だにしていなくて(笑)。
夢眠:あら、なんか頑張ってブランディングしてきた甲斐がありました(笑)。ありがとうございます!
「夢眠書店」企画のきっかけ、いかがでしたか?「TANIZAKI MY LOVE」というイベント、普段は文学の世界にどっぷり浸かっていない方でも、ねむちゃんが大御所の作家さんたちと当日どんなことを話していたのか気になりますよね。次回は、そんな私たちの「知りたい」「なんだろう?」を刺激する宣伝のお仕事についてお勉強します。お楽しみに!