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  • エースはヤンキー、トラファルガー・ローはオタク!?『ONE PIECE』に学ぶ“最強のチーム”の作り方

    2017年08月18日
    知る・学ぶ
    いわもとたかこ
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    ヤンキーのトリセツ、オタクのサバイバル術

    これはあくまで経験則ですが、同じチームやグループにこうしたヤンキーとオタクがいると、ぎくしゃくします。もちろんお互い大人なので、日常生活や仕事のうえでは表には出しません。しかし日々のやりとりでストレスをため、ちょっとしたことがきっかけで不満が出ます。そして亀裂が決定的になると、なかなか元に戻るのは難しくなります。

    多くの場合、ヤンキーが不満を持つのは、オタクのもつ「空気を読まない」「理屈が先行しすぎて行動にココロがない」という面に対してです。こうしたオタクの行動に「なぜだ」と憤って変えようとしても、人の価値観を変えるのはなかなか難しい話。むしろ、「こういうものだ」と割り切ったうえで、相手へのアプローチ方法を変えることが円滑にチームをマネジメントしていくための早道ではないでしょうか。

    山内も本の中で述べていますが、ルフィはヤンキー的でありながら、麦わらの一味のオタク的の行動(ニコ・ロビンの歴史調査、ウソップの武器開発など)を止めずにむしろおもしろがっています。こうした態度を取ることで、オタクがうまく力を発揮する場が作られるのです。

    もちろんオタクのほうも、「仲間、集団のためにがんばる」といったヤンキーが大切にしていることをふまえて、自分の行動を見直す必要があります。お互いが歩み寄ってこそ、混成チームはうまくいくのではないでしょうか。

    たとえばオタクに多い「空気を読まない」言動。実は『ONE PIECE』でも描かれています。頂上戦争編でエースが処刑され、白ひげ海賊団と海軍の本格的な戦いになったとき、海軍のコビーは「命がも゛ったいだいっ!!!!」と叫びます。

    海軍がエースの処刑という目的を達成したのに、もはや戦いそのものが目的となっていた場面。物語の展開上非常に重要なポイントで、私も読んでいたとき「よく言ってくれた」とぐっときました。コビーの言葉は「どんな人間も命を大切にするべきだ」という本質をついた言葉だったといえます。

    極限の場面で自分の考えを全員に訴えたコビー

    しかし現実社会でこれをやるとどうなるか。あえていうと、チーム一丸となって締め切りのためにがむしゃらに働いているときに「こんな仕事は意味がない」といってしまうようなものでしょうか。確かにオタクが好む、効率的で理論的なやり方からいえば、ただがむしゃらなだけの行動は意味がないかもしれませんし、仕事のやり方で見直すべきところがあるかもしれません。しかし期限の直前のタイミングで言ってしまうのは、悪い意味での「空気を読まない」ことになってしまいます。

    このときヤンキーは、目的を達成するために全員が全力を尽くしています。そういう人から見ると、いくら論理的なことを言っていても、やる気を妨げるような発言はタブー。オタクに対し「なにをいっているんだ」という懐疑的な目を向けることになります。

    オタクとしては自分の考えたこと、しかも正しいと思えることは言いたい。でも集団で大きな目標の達成を優先させる場では、発言の仕方を工夫したほうがいいでしょう。戦略的に思考を停止して集団の動きにひとまずついていくのも一手。「水を差す」意見として相手にしてもらえないよりも、意味のある意見として受け入れてもらうために、例えばみんなの前で言うのではなく集団のキーマンに個別に伝えてみたり、目標達成後に伝え、反省として次に生かしたりなど、伝える方法はたくさんあるはずです。

    ※もちろん『ONE PIECE』の場合は、コビーの発言は物語の展開上不可欠で、抑える必要はありません。誰かが不正に手を出そうとしたり、個人やチームメンバーにネガティブな影響があったりと、あえて空気を読まない発言が必要なときもあります。

    このほかにも、本書では、ヤンキーが逃げ腰のオタクとつきあうときのコツや、無意識に地雷を踏み抜いてくるヤンキーに出会ったときに対処方法などをまとめました。オタク要素の強い人にとっての戸惑いが大きいのは、ヤンキー的な人の「みんなが同じように思っているだろう」という無意識の前提でしょう。ついついムキになって理論的に対抗しようとしがちですが、それではヤンキーとの壁を作るだけ。いったん彼らの考えを受け入れたうえで、どうしても譲れない部分について「私は~」と伝えるほうがいいと思います。

     

    目指すべきはヤンキーとオタクのミックス

    共著者の山内は、「時代の変化が激しくなる今後、企業も個人もヤンキーとオタクの両方の要素を持つことが必要」と述べています。私も、おもしろいことをより多くの人に広げていくには、集団の中のタテのつながりを重視するヤンキーの力だけでも、好きなことを追求するオタクの力だけでも不十分。両者がうまくバランスした状態が、ベストなのだと思います。この本が、個人や組織のより楽な姿に変わる一助になれば幸いです。

    文・いわもとたかこ

    プロフィール

    いわもとたかこ
    1980年代生まれ。大学卒業後、一般企業入社。会社員の傍ら、2010年に共著者である山内康裕が代表を務めるマンガを介したコミュニケーションを生み出すユニット「マンガナイト」に加わり、イベントの企画・運営や書評といったコンテンツ作成に関わる。興味・関心はマンガ含むコンテンツ業界全般。本とマンガと芝居があればだいたい満足。
    mail: libro0921@gmail.com

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