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ビジネス企画、プロジェクトの成功に不可欠な「チーム作り」。その秘訣を尾田栄一郎さんの大ヒット漫画『ONE PIECE』に学ぶビジネス書『「ONE PIECE」に学ぶ最強ビジネスチームの作り方』(集英社)が7月26日(水)に発売されました。
本書によると、個人の考え方や行動は”ヤンキー”と”オタク”の2つに分けられるのだそう。そしてこれからのビジネスでは、両者の力をうまく取り込むことが不可欠なのだといいます。
ここでいう“ヤンキー”“オタク”とは何なのか。そしてそれぞれは、どんな“力”を持っているのでしょうか? 今回は著者のお一人であるいわもとたかこさんに、『「ONE PIECE」に学ぶ最強ビジネスチームの作り方』の内容と、実社会での役立て方についてご紹介いただきます。
「ほんのひきだし」をご覧のみなさんは、日常生活や会社で「何となくウマがあわないな」と思う人と出会ったことはないでしょうか。別に嫌いなわけではないのだけれども、どことなく考え方が合わない――私はしょっちゅうです。コミュニケーション術やコーチング、心理学の本を読んで乗り切ってきましたが、学生時代から社会人になっても、「なぜこの人はこういう考え方や振る舞いをするのだろう」と思うことがしばしば。
そんなとき、共著者の山内康裕から『『ONE PIECE』に学ぶ最強ビジネスチームの作り方』の企画の話をもらいました。
出発点は、山内が代表を務めるユニット「マンガナイト」内で話題になってきた基本的な疑問――なぜ『ONE PIECE』はメガヒット作品になったのか――でした。山内の仮説は「もともとマンガを読んでいたオタク的な人に響いたうえ、多数派のヤンキーを引き付けたから」というもの。
この仮説を踏まえつつ、精神科医の斎藤環さんの『世界が土曜の夢なら ヤンキーと精神分析』『ヤンキー化する日本』(いずれも角川書店)や、マーケティングアナリストの原田曜平さんの『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(幻冬舎)などを読んだことで、「マンガやアニメといったコンテンツの楽しみ方の違いから、個人のメンタリティや行動のクセを分類することができるのではないか」と考えるようになりました。もともと私が、芸能人などが『ONE PIECE』好きを公言し始めていたことを疑問に思っていたという背景もありました。これが今回の本ができた経緯です。
ヤンキーやオタクとはどういう人なのか。これは「やんちゃな若者」「アニメやマンガが好きな人」という従来の意味ではありません。この本の中では、「どういう価値観を大切にする人か」で分類し、情が行動の基本にあり、集団や人とのつながりを重視するヤンキーと、理屈や自分の関心が大切なオタクに分けました。
もちろん、個人の中にはヤンキーとオタクの両方の部分があり、年齢や経験によって、どちらがより強く出てくるか変わってくるものです。私自身も、もとはオタクですが社会生活を通じてヤンキー的な振る舞いを学び、「ああ今は、ヤンキー的な行動をしているな」と思うことが多々あります。『ONE PIECE』にも、もともとはオタク的な振る舞いをしていながら、徐々にヤンキー的なキャラの影響を受けてヤンキー要素が高まったキャラクターが登場します。
たとえば主人公ルフィの兄、ポートガス・D・エース。ファンの中で人気のあるキャラクターの一人です。海賊王の息子であるという出生から人に疎まれ、生きていていいのかと疑問を抱いて育ちます。ルフィやサボそしてエドワード・ニューゲート(白ひげ)との出会いで、尊敬できる親父、そしてそのままの自分を受け入れてくれる集団(白ひげ海賊団)を見つけます。そして恩のある白ひげを裏切ったティーチを許さず、白ひげの忠告に背いてでもけじめをつけにいこうとする義理堅さ。これらは、日本人の大多数を占めるヤンキーを体現しているといえます。
▼仲間を殺したティーチを追うため、船を飛び出すエース
一方でオタク的なキャラクターは誰か。人気キャラクターでいうと、トラファルガー・ローがそうではないかと考えています。
ローはシャボンディ諸島で麦わらの一味と出会った後、様々な場面で接点ができ、パンクハザード編で四皇のカイドウを引きずりおろすためにルフィらと海賊同盟を結びます。
▼ローは自分の目的を果たそうと、ルフィに同盟を持ちかけた
ローとしては、パンクハザードを支配していたシーザー・クラウンをとらえ、四皇のカイドウを引きずりおろすきっかけにするという「目的」のため同盟だったのですが、ルフィはそうとは受け取らず、麦わらの一味の救出も要請します。
義理人情や人とのつながりで動くヤンキーに対し、オタクが動くのは自分の関心事の中で目的を達成するため。救出を要請されたときにローが見せる戸惑う表情は、目的外のことを要望されたときにみせるオタクの戸惑いそのものです。