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夢眠:紀伊國屋書店新宿本店といえば、1階に鉱物売場があるのも特徴的ですよね。
大矢:鉱物の他にも、喫煙具や革細工の店がテナントで入っています。
――まさに「嗜好品」という感じのラインアップですね。
大矢:喫煙具を販売しているお店は「kagaya」といって、1962(昭和37)年の開店以来、ずっと紀伊國屋新宿本店で営業しています。全国的にも有名なので、書籍売場を素通りして、まっすぐ向かわれる方もいらっしゃいますね。こういう“濃い”お店が営業しているというのは、ここがカルチャーの中心地だったからということもあると思います。舞台演劇や写真集もそうですが、「ここが最後の砦だ」と思っていらっしゃる方は多いんですよ。
夢眠:確かに「近所のお店になかったから、夜、新宿に行った時に覗いていこう」ってよくやるかも。「最後の砦」ってすごくかっこいいですね!
大矢:「全国の書店で一番最後に在庫を切らさなきゃいけない」っていう言い方もできると思います。
夢眠:このあたり一帯の「書店」の役割と責任を、背負っていらっしゃる……。
大矢:そうかもしれないですね。「紀伊國屋新宿本店の並べ方や品揃えを参考にする」という本屋さんはたくさんありますし、Twitterを見て「うちも注文しなきゃ」と思ってくださるお店もあります。そういうある種の役回りは、引き受けなきゃいけないなと思いますね。
夢眠:紀伊國屋さんのプライドですね。
大矢:お客様から求められるレベルは高いなと思っています。それを象徴しているのが、「紀伊國屋さん」と呼ばれることなんですよね。そういうふうに呼んでくださる方が多いんですが、それは昔から紀伊國屋書店が培ってきたブランドであり、紀伊國屋書店に対する期待だと思っています。自意識過剰なところも出てくるかもしれませんけど、これだけの方々にとって特別な存在であるのだから、それだけの仕事はしなければいけないなと強く思います。
――本屋としてもそうですけど、「紀伊茶屋」や海外のお客様に向けた「Books on Japan」を始められたのは、そういう「本屋はカルチャーの発信地である」「その中でも紀伊國屋はこうあるべきだ」というお考えがおおもとにあるんでしょうか?
大矢:コーヒーチェーンが増えている中で、お茶のチェーンはあまりない。カフェ併設の書店は増えているけれど、紀伊國屋書店がやるならコーヒーではなくてお茶だなというのは、ありましたね。「Books on Japan」に関しては、海外からいらっしゃるお客様に対して「買いやすくて、日本を紹介できる売場」を作ろうということで始まりました。実際に中国の方などが、実用書や手芸の本を買っていかれることが多いんですよ。
夢眠:へえ~! そうなんですね。確かに私も、フランスに行った時現地のフランス料理の本を買いました。
大矢:言葉は読めないけれど、絵が豊富だからわかるんです。それに、中国にはこういう本がないそうなんですよ。レシピ本も「文章はわからないけれど、写真や絵から理解できるし、何よりも美しい」という理由で手に取っていただいているようです。あとはブランドムックですね。
夢眠:紀伊茶屋で三重のかぶせ茶を売ってる……! 提供してるお店、なかなかないのに!
大矢:日本茶はいろんな産地から選んできています。抹茶ソフトクリームも人気で、海外の方がよく食べ歩いてらっしゃいますね。
夢眠:私、三重県の大使なので、ぜひかぶせ茶にPOPをつけたいです!
大矢:ぜひお願いします!
▼ねむちゃんが描いた伊勢かぶせ茶のPOP。実際に紀伊茶屋で使われました!