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皆さんそれぞれに「書店員さん像」のようなものをお持ちかと思いますが、そういえば書店員さんって、書店で働く前は“書店員さん”ではないですよね。私たちの思う“書店員さん”は、どんなことを経験して書店員になっていくのでしょうか? 今回はそんな話題から始まります。
紀伊國屋書店新宿本店にお邪魔し、夢眠書店の店長として書店員修行をしてきたねむちゃん。第15話は今回でおしまいですので、ぜひ最後までお楽しみください。ねむちゃん直筆POPにも注目です!
今回の対談相手
大矢靖之 紀伊國屋書店新宿本店 仕入課
2006年紀伊國屋書店入社。高松店へ新規開店スタッフとして配属された後、2007年に梅田本店へ異動、2013年からは福井店に勤務し、2014年に新宿本店仕入課へ。2017年3月からはビジネス・社会・就職・人文のフロアを担当。『大学出版108号』で専門書の装丁論を、『メディアの本分』(彩流社)に書店のメディア性についての試論を寄稿。
――「書店員1年目でまずやっておくべきこと」や「新人が任されやすいジャンル」というのはあるんでしょうか? 書店員さんって、どういう段階を踏んでベテランになっていくんでしょう。
大矢靖之(以下、大矢):上司の考え方や店のカラーにもよると思いますが、例えば文庫なら、堅いテーマからやわらかいテーマまで、文芸もサブカルチャーも扱っているような“まんべんない”レーベルを担当してもらいますね。それは「全体の視野」をつけるためです。
夢眠ねむ(以下、夢眠):棚整理をしていた時みたいに、「ここの売場はこうなってる」「こういう本が売れてる」っていうのを把握する力を養うんですね。
大矢:(書店員としての)最初の入口をどこにするかというのはかなり深い問題なので、これは個人の意見ですけれどね。私だったら、そういうまんべんなくテーマを扱っているレーベルで、その中でも売上の増減が比較的激しくないところを教材に選ぶと思います。落ち着いて「著者」や「テーマ」といったキーワードを押さえるためには、そういうレーベルが入口にいいんじゃないかなと。
夢眠:文庫とか新書って、中をまだきちんと読んでなくても「何について書いてある本か」がある程度わかりますもんね。
大矢:「有名なものほど文庫化されやすい」というのも、理由としてありますね。
――文庫や新書以外で、「このジャンルを担当するとこれがわかる」という例はありますか?
大矢:実用書ですね。フェアのお話をした時にも触れましたが、実用書は1年間の流れが押さえやすいジャンルです。それにテレビや新聞にたくさん広告が出るので、そういうものにすぐに飛びつくことができる反射神経も養うことができます。仮に私が店長だったら、育てたい新人にはまず実用書を担当してもらうと思います。