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……さて、あなたが最初に見たのはどれだったでしょう。
もしかして、「右上のクモ」ではありませんか?
実はこの現象には、“無意識の脳の働き”が関係しています。
膨大な情報の中で、“意識的な脳”が処理できるのはごくわずか。具体的にいうと、脳が1秒ごとに処理している推定1100万ビットの感覚情報のうち、“意識的な脳”はたった40ビットしか対応することができません。
人間の脳は、まず無意識下で膨大な情報を処理し、その中から一番重要そうなもの、特に種の進化や、生存を脅かすような刺激に優先的に意識を向けさせます。
先ほどの実験で「クモと答えたのではないか」と言ったのは、その無意識下での処理において、クモがあの4つの中で最も「生存を脅かしうる刺激」とされる場合が多いからです。
さて、ここで最初の話題に戻りましょう。あなたはなぜ、猫の写真が気になったのでしょうか。
「かわいいから」というのが最も多い答えかと思いますが、それでは“かわいい”とは一体どういうことなのでしょうか?
ある本では、人間が何かをかわいいと思うのには、3つの条件があると解説されています。
多くの研究などで触れられている「かわいい顔」の条件は、①鼻と唇の中間点と両瞳の位置関係が逆正三角形(A)、②顔全体の輪郭(B)が円、③A/Bの比率が小さい、の3つ。これが一番あてはまるのが赤ちゃんの顔。しかも人間だけではなく大半の動物の赤ちゃんでも同様だ。赤ちゃんの顔をかわいいと感じて擁護する本能が備わっている、と解釈されることが多い。またペットなら猫や柴犬がこの3条件に近く、人気を支えている要因だと言える。
つまり“かわいい”とは、本能的に「守らなければならない」「注意しなければならない」という反応を呼び起こすもの。「赤ちゃんだからかわいい」「猫だからかわいい」という以前に、私たちの脳が視覚情報から本能的に“かわいい”と処理しているのです。
このように、好むと好まざるとに関わらず、私たちの認識や行動の多くは、無意識下の脳の働きによって支配されています。
この事実を前提に、より効果的な広告のあり方や「つい買ってしまった」の裏にあるマーケティング術を解説した本がこちらです。
著者のパトリック・ファーガンさんは、消費者心理学者で、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジの准教授。先ほどの4つの写真の実験や、かわいい顔の条件をはじめ、脳の仕組みにもとづいて「相手の心をHOOKする(フック=引っ掛ける)」10の仕掛けを紹介しています。
ビジネスはもちろん、うまく応用すればプライベートでも役に立つ一冊。HOOKしたいものがある方は、『#HOOKED』でそのロジックを学んでみてはいかがでしょうか?
目次
#HOOK 1 プリミティブにする
#HOOK 2 感情をわしづかみにする
#HOOK 3 わたしのこと?と思わせる
#HOOK 4 サプライズを駆使する
#HOOK 5 ミステリー要素を加える
#HOOK 6 ハードルをとことん下げる
#HOOK 7 物語のなかを歩かせる
#HOOK 8 記憶にこびりつかせる
#HOOK 9 思考回路をショートカットさせる
#HOOK 10 プライミング効果を駆使する
今回ご紹介した『#HOOKED』は、資格試験の参考書などで知られるTAC出版の新レーベル「T’s BUSINESS DESIGN」の第1弾として刊行されました。
「T’s BUSINESS DESIGN」のコンセプトは、資格を取った後に活用できる新たなビジネス書。海外の先進的なビジネスシーンにおける知識・スキルを厳選し、取った資格を“即戦力”にすることを目指す翻訳ビジネス書のシリーズです。
そしてこのレーベルからは『#HOOKED』と同時に、「事業展開」「リーダーの資質」をテーマにしたタイトルも刊行されています。こちらもぜひチェックしてみてください。
2009年初頭に1億5,000万人だったユーザー数を約6年で15倍にし、時価総額3,000億ドルを超えるまでに成長した「Facebook」の事業展開を、シェリル・リンドバーグCCOと共に働いた著者が“社内からの目線”で描いた一冊。
これまでにFacebookが下してきた決断と、そこから得た教訓、彼らが目指す未来の姿とは? スタートアップの起業家や、メディア関係者に特におすすめです。
ビン・ラディン奇襲作戦を指揮したウィリアム・マクレイヴン海軍大将、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス……。現代社会の優れたリーダーたちには、“上手にブレる”という共通点があった!?
確固たる信念を持ち、簡単に心変わりしない“ブレないリーダー”を多くの人が理想とする中で、一つの考えに固執しない「上手なブレ方」の重要さを解説したのが本書。
信念を曲げないリーダーは失敗に弱いけれど、柔軟すぎて朝令暮改がすぎるのは頼りない……。どうやら上手にブレるには、コツがあるようです。イラストと文章でわかりやすく説明されているので、サクサク読み進められますよ。