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  • 夢眠書店開店日記 第15話:ねむ店長、修行!1日数万人が訪れる本屋さんの裏側⑥

    2017年06月17日
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    大矢:そこまで見てくださっているとは、さすがですね。まさにその通りで、「タイトルは知っているけど書影がわからない」「書影のデザインを知らないから、売場に行ってもなかなか見つけられない」という方は多いと思うんです。

    夢眠:先ほど(夢眠書店開店日記第15話-②)の『火花』もそうですよね。もし全部ドラマ版のカバーだったら、その役者さんを好きな方は手に取るけど、「火花がどこにもない!」って思うお客さんもいると思います。よかれと思ってやったことが結果的に食い違ってしまうのを、売場からの情報が取り持ってくれている。作り手と買い手の思いを、うまく汲み取ってくださってますよね。

    大矢:そうですね。なのでTwitterで情報発信する時は、本の説明と一緒に棚番号を書くようにしています。フロアと棚番号と書影があれば、置いてある場所が探しやすいですよね。「動線」という言い方をしていますが、お客様をどういう形で誘導するかは、かなり意識しています。

    夢眠:「見つけないと買えない」って、本屋の売りでもありネックでもありますよね。偶然出合うっていうのが素敵な一方で、諦められちゃったら終わりで、それこそ「ネット書店で買おう」と思われちゃう。

    大矢:それに「探しに来たのに見つけられなかった」って、お客様にとってはストレスですよね。品出しの時にもお話ししましたが、「目につかないものは売れない」という当たり前のことをないがしろにしないで、どう目につくように陳列するかは徹底して考えます。本屋にとっては重要な仕事ですね。

    夢眠:あとTwitterだけじゃなくて、トークショーとかイベントとか、そういう催し物もされていますよね。

    大矢:いつから始めたかははっきりわからないんですが、うちはイベントにはかなり力を入れています。特にねむさんのような芸能人の方がいらっしゃるイベントだと、囲み取材があって、それが翌日ニュースになったりしますよね。それは「こういう本が出ましたよ」という告知の意味もあるので、1冊でも多く本を売るためには重要なことです。なので出版社や事務所の方も積極的になっていて、最近はかなりイベントの数が多くなっています。

    夢眠:私はアイドルなのでイベントを色んなところでやっていますけど、その中でも紀伊國屋書店でのイベントというと、ちょっと格式高い感じがして惹かれます。

    大矢:それはやっぱり、創業以来培われてきたイメージがあるからでしょうね。「文化人や文芸作品を愛する」という初代社長の思いがまずあって、1970年代にカルチャーの聖地になったこともその理由だと思います。

    紀伊國屋書店のイベント情報は、こちらに公開されています。

     

    書店員に必要なことって何だろう?

    夢眠:書店員さんって、もう見ただけで「書店員だな」ってわかる感じの方が多いですよね。大矢さんは、どうして書店で働こうと思ったんですか?

    大矢:私は紀伊國屋書店に入社する前、大学院で研究をしていまして。本当は大学院でもう少し研究を続けたかったんですが、恩師の一人が亡くなったのをきっかけに、就職することに決めました。就職活動を始めたばかりの頃に紀伊國屋書店が採用情報を出しているのを見つけて、受けてみたらすぐに受かって。

    夢眠:でも書店って、採用人数がすごく少ないですよね。採用活動をしない年もありますし……。ものすごく本に詳しかったとか、何か得意なことがあったとか、ご自身で「ここが決め手になったな」と思うところはありますか?

    大矢:自分がどう思われていたのかはわかりませんが、当時はフランス哲学を専攻していて、フランス語をメインに、他の言語もちょこちょこ勉強していたんです。そうすると国外のニュースをキャッチできたり、まだ日本語訳されていない本のことが分かったりする。それは今の仕事につながっているなと思いますね。

    夢眠:すばらしい……。

    大矢:日本では報じられていない国外のニュースなどは、それこそTwitterで発信すると、メディアの方や知識人層が拡散してくださったりもしますね。

    夢眠:そういうのって、知識がないとできないことですよね。

    大矢:知識がなくても、向上心のある方やお客様対応の上手な方なら、書店での仕事はできると思いますよ。

    夢眠:「知識はあるけどシャイすぎて目が見られない」とかだと、レジに立てないですからね。

    大矢:もっというと、別に本がそこまで好きじゃないという人だって、本屋の仕事はできます。自分の店でどんな本が売れるかがわかれば、システマチックにはなってしまいますが、本屋として回していくことはできますね。

    夢眠:好きな人ばかりが集まると、お店として偏っちゃうんですかね。スタッフのたくさんいる大きなお店だから、ものすごく本を愛している人も、データで売場を見る人も必要というか。

    大矢:そういう面もありますね。ある本がものすごく好きで、実際に売れているといっても、その本だけで1フロアを全部埋められるわけではありません。「それはちょっとやりすぎなんじゃない?」という視点から意見を言える人は、いなくてはならない存在ですね。

    夢眠:「ねむきゅんのファンだから、1階を全部ミントグリーンにしたい!」と言ったとしても……

    大矢:「この棚1本だけにしとこう」と言う人が必要です(笑)。

    夢眠:変な話ですけど、アルバイトとして入ってきた時点で「この人は大事に育てたい!」「光るで!」というのはわかるんですか?

    大矢:すべてではないですが、ありますね。受け応えがしっかりしている人は接客もうまいだろうし、抜きん出ていなくても社交性はある程度あってもらいたいです。本とはあまり関係のないところが、実は一番大切だったりしますね。知識は後から教えられるので。

    夢眠:これ、私(書店員として)いけるかもしれない!!


    「見つけないと買えない」「探しに来たのに見つけられなかった」。そんな時に「こんな本です」「うちのお店ではここにあります」「あのお店にありましたよ」と情報がつながっていくのが、SNSのいいところですよね。

    後半では大矢さんが書店員になるまでのことも語られましたが、次回は「書店に入社した後、その人はどんなふうにして“書店員”になっていくのか?」を伺います。お楽しみに!

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