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近年増えている、本屋さんのTwitterアカウント。紀伊國屋書店新宿本店も @KinoShinjuku というアカウントで日々情報を発信しており、ねむちゃんの『まろやかな狂気』が発売された時にも、そのことをつぶやいてくれていました。
今回の「夢眠書店開店日記」は、そんな“情報発信”の話題からスタート! 本屋さんは何のために、どんなことを発信しているのでしょうか?
今回の対談相手
大矢靖之 紀伊國屋書店新宿本店 仕入課
2006年紀伊國屋書店入社。高松店へ新規開店スタッフとして配属された後、2007年に梅田本店へ異動、2013年からは福井店に勤務し、2014年に新宿本店仕入課へ。2017年3月からはビジネス・社会・就職・人文のフロアを担当。『大学出版108号』で専門書の装丁論を、『メディアの本分』(彩流社)に書店のメディア性についての試論を寄稿。
夢眠ねむ(以下、夢眠):紀伊國屋書店さんはインターネットもうまく使っていらっしゃる印象があるんですが、大矢さんはいわゆる“中の人”なんですよね。
大矢靖之(以下、大矢):そうですね。Twitterで仕入速報などをつぶやいています。
夢眠:『まろやかな狂気』が出たときにもつぶやいてくださって。私、すごくびっくりしたんですよ。CDは「フラゲ日は前日」って決まってるけど、本もこんなに前に届くんだ!って。
※注:公式な発売日は決まっていますが、書店側では例外を除いて、到着した書籍はその時から販売することができます。公式な発売日よりも前に入荷・販売されていることがあるのは、そのためです。
大矢:それで結局、本来の発売日よりも前に品切れしてしまいましたね(苦笑)。すみません。
夢眠:いえいえ! 大矢さんのツイートが、「早く欲しい」と思っていた方の意欲を刺激してくださったんだと思います。直接お礼が言えてよかった……。
大矢:紀伊國屋書店でTwitterをやっているのは、本の情報を発信するというのはもちろんですが、例えば「本を見かけたことはあっても、著者のことは知らなかった」という方に、ダイレクトに流せるようにしたいという思いもあります。そのためにメンションを飛ばしているんですね。
夢眠:『まろやかな狂気』が発売された時は、そうやって発信してくださったおかげでリプライもありましたし、引用リツイートで「このお店に置いてあるらしいよ!」とフォロワーの方々が共有してくれました。本当によいバズが生まれたと思います。
大矢:熱狂的なファンが多いアイドルの本は特にそうですが、注目の商品はお客様も「早く買いたい」と思っているし、我々も「一冊でも多く売りたい」と力を入れます。それに著者の方を応援したいという気持ちもあるので、“中の人”としては、インターネットで話題になったものや、「この人の可能性を押し広げたいな」と思ったとき、発信しています。
夢眠:若手の作家で推していた方が賞を獲ったりすると、すごく嬉しいでしょうね。
大矢:そうですね。これは以前勤務していた店舗での話ですが、この間芥川賞にノミネートされた岸政彦さんは、私が大学院で研究していたこともあってデビュー前から活動を存じ上げていたので、初めての著書が出版された時から売場ではプッシュしていました。それこそTwitterなどでも色々と発信していたんですが、結果的にすごい人になってしまいましたね。
夢眠:これはもしかして、ラッキーなほうのジンクスがあるんじゃないですかね……。「大矢さんが紹介したら偉くなる」みたいな。
大矢:そう言われるとプレッシャーを感じますが(笑)、それを抜きにしても、本業はフロアの商品の流れを司ることであって、Twitterを運用することではないので、紹介できる商品や内容って限られているんですよね。ただ、空いた時間を見つけて、個人的なレベルではあるけれども「紀伊國屋書店新宿本店」というもののブランディングに関わろうとしています。
夢眠:書店さんがSNSでされている情報発信って、「家で見られるPOP」的な側面があるじゃないですか。「売れてます」もそうだし、「売り切れました」っていうのも体感として、すごく宣伝になるなあって思ったんですよね。お客さんは売場をパシャパシャ撮影しちゃだめだけど、“中の人”が「この売場でこんな風に展開してますよ」というのを写真で見せてくれていたら、実際にお店に行った時に“答え合わせ”ができる。そのおかげで欲しかった本をすぐに見つけられたり、この本欲しいなって思ってもらえたりすると思うんです。空いた時間とはいえ、すごく大切なお仕事だなと思います。