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第1章のテーマは「腕時計をする人は少ないのになぜ腕時計のCMは増えているのか?」。スマホが普及したこのご時世、「スマホで確認できるから腕時計をつけなくなった」という人も多いでしょう。
従来の時計が提供していた「正確な時間を知ることができる」という価値が当たり前のものとなり、その価値は失われてしまった(このことをマーケティング用語で「コモディティ化する」といいます)。しかし、腕時計のCMは増えている。
それは、売れている腕時計には「正確な時間を知ることができる」という価値以外に、人々が「よい」と評価するポイントがあるからです。
対価を支払って腕時計を手に入れる“新たな理由”とは何でしょうか? 実は腕時計業界には、こんな新しい商品が登場し、ヒットしています。
①ジョギング専用ウォッチ
…走行距離・消費カロリー・歩数・コースの記録、心拍数の計測ができる)
→【価値】(時計で)体力を強化できる
②登山専用ウォッチ
…高度計・気圧計・温度計を内蔵。グローブ着用時にも操作できて、つくりも頑丈)
→【価値】(時計で)安全に登山できる
③GPSソーラー腕時計
…電波時計とGPSを組み合わせることで、世界のあらゆる場所で瞬時に現在時刻がわかる。ソーラー発電のため電池交換も不要。
→【価値】(時計で)グローバルビジネスに役立つ
これらの商品が生まれた背景には、「バリュー・プロポジション」という考え方が密接に関係しています。
バリュー・プロポジションとは、「お客様が欲しいと望み、かつ自社だけが提供できるもの」のこと。つまり今売れているこれらの腕時計は、バリュー・プロポジションを考え抜くことで、お客様がお金を出す理由を作りだした結果なのです。
“目の前のお客様”を相手にする「営業」と、実体としてとらえづらいターゲットに対して活動する「マーケティング」。この2つの仕事は、広く捉えた総合的な意味での「マーケティング活動」の一環であり、互いに補完し合う関係にあります。
営業マンが「商品そのもの」を違うものに変えることは難しいかもしれませんが、お客様のどんな課題に対してその商品を提案するのかは、営業マンの腕の見せどころ。また、営業マンが直にふれた“お客様からの要望”は、商品をグレードアップさせる重要な手がかりにもなるでしょう。
営業とマーケティングは異なる仕事ではありますが、マーケティングの知識をきちんと理解しておくことは、営業の効率アップになるのです。
『これ、いったいどうやったら売れるんですか?』には、この他にも「ベンツ」「うどん」「きゃりーぱみゅぱみゅ」などのさまざまな事例が紹介されており、マーケティングの知識を段階的に学ぶことができます。
詳しい内容が気になった方は、ぜひ書店で手に取ってみてくださいね。
目次:
第1章 腕時計をする人は少ないのになぜ腕時計のCMは増えているのか?
──「バリュープロポジション」と「ブルーオーシャン戦略」第2章 人はベンツを買った後どうしてベンツの広告を見てしまうのか
──「顧客」と「ブランド」第3章 雪の北海道でマンゴーを育てる?
──「商品戦略」と「顧客開発」第4章 あの行列のプリン屋が赤字の理由
──「価格戦略」第5章 なぜセブンの隣にセブンがあるのか?
──「チャネル戦略」と「ランチェスター戦略」第6章 女性の太った財布には、何が入っているのか
──「プロモーション戦略」と「マーケティングミックス(4P)」第7章 きゃりーぱみゅぱみゅは、なぜブレイクしたのか?
──「イノベーター理論」と「キャズム理論」第8章 古本屋がふつうの本屋より儲かる理由
──「マイケル・ポーター5つの力」と「競争戦略」