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「ビジネス書を評価するのも、その本を“ビジネス書である”と決めるのも、すべて読者=ビジネスパーソンである」のコンセプトのもとに、今年第2回を迎えた「ビジネス書グランプリ」。
今回のビジネス書グランプリは「イノベーション」「マネジメント」「政治経済」「ビジネススキル」の各分野に、“教養”を扱う「リベラルアーツ」が加わり、全5分野の書籍から、総合TOP3と各部門の受賞作が発表されました。
「ビジネスパーソンが選んだビジネス書」がどんなラインアップとなったのか、3月8日(水)に行われた授賞式でのコメントとともに、受賞作を見ていきましょう。
総合第1位を受賞したのは、超長寿社会における生き方を問うた『LIFE SHIFT』。政治経済部門でも第1位に選ばれています。
担当編集者の佐藤朋保さん(東洋経済新報社)は本書について、長寿化が叫ばれて久しいことから「恐らく読者の関心も高いだろうと思っていた」とし、「そこに過労死などの不幸な事件が起こって『働き方を見直す』という機運が絡み、鮮烈なメッセージになった」とコメント。
また翻訳書である点について触れ、「先に読んだ日本人に『良い本だ』と説明してもらうことが重要だった」「本についてつぶやいてくれた人を取材し、この本のどこが刺さったのか、その人がどんな切り口でこの本を捉えたのかをWebメディアに繰り返し掲載した」ことがヒットに繋がったと述べました。
なお、現在の読者は40~50代の男性が中心となっていますが(日販 WIN+調べ)、佐藤さんは「『100歳になった自分が、今の自分を見て何と言うか?』が長寿化の核心を突く問い」だと言います。
今20代・30代の方にとっても、本書で「これからをどう生きるか」を考え組み立てることが、今後ますます必要になってくるはずです。
総合第2位は、『〈インターネット〉の次に来るもの』。これから30年に私たちの未来がどこへ向かっていくのかを12のキーワードで解説した一冊で、イノベーション部門の第1位にも選ばれています。
担当編集者の松島倫明さん(NHK出版)は本書が支持された理由を、次のように述べました。
「今はテクノロジー的なものに翻弄されていて、次々現れる“新しいもの”についていくのがやっとの状態です。一方で本は、フロー状態にあった情報を一つの塊にして、脳に落としてくれるメディア。日々情報が流れていく中で、一度立ち止まって、碇をおろしてしっかり考えたいと思う人たちに読んでもらえているのではないかと思います」
また本書の象徴的な点について、「12ある法則の最後がビギニングなところ」と説明。「私たちはものすごいテクノロジーの波の中にいますが、彼らに言わせればまだ始まっていない、まだ始まったばかりだといいます」。
30年経った後で「あの時に何かやっていれば!」と思う前に、今読んでみてはいかがでしょうか?
総合第3位は、新設のリベラルアーツ部門で第1位を受賞した『サピエンス全史(上・下)』。イスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリさんの著書で、「人類250万年の歴史は、虚構(フィクション)を信じることで発展してきた」というのが一貫したテーマです。
人類発展のターニングポイントを4つに分け、それぞれの局面で人がどのようなフィクションを想像し、信じてきたのかを論じる本書。
担当編集者の九法崇さん(河出書房新社)は、「世界では話題になっていたが日本ではほとんど知られていなかったので、著者を呼ぶしかないと思い、来日した4日間にいろんなメディアに取材してもらった」と裏話を披露。その結果、NHK「クローズアップ現代+」にも取り上げられ、上下巻合計38万部と、人文書としては異例の売れ行きを見せました。
本書のテーマである「虚構」が注目された理由については、現代問題の一つである「過労死」を例に説明。「実体のない虚構=会社のために、過剰に働く。自分の幸せより虚構が大事になる。そういう矛盾があり、虚構の力がどんどん強くなっている中で『なぜこんなところまで来ているのだろう?』と振り返らせてくれる本」だと、本書のもつメッセージ性をあらためて訴えました。
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総合3位までの本は、「政治経済」「イノベーション」「リベラルアーツ」部門の受賞作でもありました。そこでここからは、残る「ビジネススキル」「マネジメント」部門の受賞作をご紹介します。