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宇宙に関する知識がおそろしく欠落している私は、勉強するために買った本を20年間1度も開くことなく、ついに先日手放しました。
宇宙は難しい。そんな先入観があったのですが、この本は「宇宙兄弟」のおかげで、とにかく“とっつきやすい”です。
冒頭から大人気漫画『宇宙兄弟』のムッタとヒビト、宇宙飛行士たちが登場し、まずは宇宙について大まかなことを教えてくれるので、親しみやすくてわかりやすい!!
勉強するにあたって、最初の入り口は大事だと身をもって感じます。
続いて、第1章では「地球」について、第2章では「月」、第3章は「太陽」、第4章は「太陽系の8つの惑星」と知っておきたい話が続きます。
こちらも、写真・イラスト・文字が程よいバランスで、宇宙アレルギーの私でも抵抗なく読み進めることができました。
実はこの本の中で、最もテンションが上がったのは「第5章 宇宙でくらす!」。
夕闇迫る空に明るい「宇宙ステーション」が横切る様子を初めて見たときは、あそこで人が生活してるのか!! と、なんとも言えない感動がありました。
アメリカの宇宙船アポロ11号の宇宙飛行士が、初めて月面に着陸したのが1969年7月。
人類が宇宙で生活するなんて夢のまた夢だと思っていたのに、50年以上を経た今では、「宇宙ステーション」で長期滞在も可能になったのですから、人類の宇宙に対する挑戦はすごい!!としか言いようがありません。
中でも興味深かったのは、「宇宙ステーション」では、どんな生活をしているのか?
毎日の作業は約6時間半というだけでも大変なのに、無重力空間で筋肉や骨が弱くなることを防ぐため、毎日2時間半もトレーニングをしているというのは驚きです。
また、私たちは自由に水が使える生活をしているため、うっかり忘れていたのが、宇宙では水がとても貴重であるということ。
だからお風呂もシャワーもなく、尿は再利用されるというトイレ事情まで書いてあるので、もう興味津々です。
ここでふと、疑問が湧きました。洗濯はどうしているのだろうかと。
すると、ムッタのイラストがついた「頭のノートにメモっとけ!」に、臭いの元となるアンモニアなどを吸収し、雑菌を分解する機能を持つ「宇宙下着」が開発されているという一文を見つけました。
このレア情報は、ページの右隅、あるいは左隅に緑色のちっちゃな文字で書かれているのですが、なるほど!!というネタがいっぱいです。
さらに、「宇宙飛行士になるにはどうしたらいいのか?」まで書いてあるのが、この本ならではの面白さ。
例えば、宇宙飛行士に応募できるのは、身長149.5~190.5cmの人とか、真っ白のジグソーパズルを3時間で完成させるなど、実際に行われた試験がどんなものだったのかがわかりました。
ほかにも、「月面基地」や「宇宙エレベーター」を作る未来の計画や、ロケット、人工衛星、観測方法や星座など、小学生でも興味をもてそうなものがたくさん載っています。
私が宇宙に対して苦手意識をもったのは、身近なものとしてとらえることができなかったからですが、この『宇宙兄弟といっしょに学ぶ 宇宙図鑑』は、興味をもつ第一歩として、まさにうってつけの本だと思いました。
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(レビュアー:黒田順子)
※本記事は、講談社BOOK倶楽部に2022年10月25日に掲載されたものです。
※この記事の内容は掲載当時のものです。