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1.友情も恋愛も親子愛も兄弟愛も、すべてが素晴らしいなどということはあり得ない。人間には醜い面があるのだから、少し離れてつながろう。
2.集団の中で「人からどう思われるか」を基準に生きるのはやめよう。悪意のある視線から離れ、やさしい視線のある場所のゆるい人間関係に乗り換えることだ。
3.家族とは、たまたま至近距離に居あわせた特殊な人たちでしかない。愛に溢れた家庭のイメージは、もともと啓蒙のために上から押しつけられたものだ。愛着を感じる対象は人でなくてもよい。
本書のタイトルに目が留まった人は、人間関係で悩んだことのある人だろう。そして、それはほぼすべての人のはずだ。「人間の悩みはすべて対人関係の悩み」と言ったのは、心理学者のアドラーである。
本書が考えるのは、仕事相手や友人、家族、恋人、そしてSNSで目にする人といった、あらゆる人間関係をめぐる「生きづらさの最終的な解決法」だ。
著者は、1993年に刊行された『完全自殺マニュアル』で脚光を浴び、その後も生きづらさの問題を追い続けているフリーライターの鶴見済氏である。10代から社交不安障害を患っていたことや激しい家庭内暴力にあっていたことなど、自身の悲痛な体験をシェアしながら、現代日本の生きづらい状態から脱するための「やさしい人間関係の作り方」を伝えてくれる。
著者が指摘するとおり、今の日本には、会社、学校、家庭の3領域以外の居場所がほとんど育っていない。それらの「固く閉ざされて密着した世界」で、つらい人間関係から逃れられなくなっている。本書は、そんな生きづらさを抱いているすべての人にとっての「心の処方箋」だ。
「人間は醜い」「みんな同じなんて気持ち悪い」といったストレートなフレーズ。著者のいたたまれない体験。そして私たちが持つ家族観や結婚観などが、日本固有の、かつ、ごく短い時期の社会通念に過ぎないという事実。これらの要素を交えながら、魂のこもった文章が綴られていく。多くの読者が共感し、心解き放たれ、救われるに違いない。