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1.未知のものごとがわからないのは当然である。わからないことはすぐに忘れてしまうが、それでよい。何度も触れるうちにだんだんと理解が蓄積されていく。
2.ひらめきを生むためには、外から物事を見てみるとよい。はなれたところから見ればこそ、美しさやおもしろさを創り出せることがある。
3.リンゴも人生も、傷があったほうがうまい。むしろ不幸や失敗が足りないことを恐れるべきである。
本書は『思考の整理学』で知られる外山滋比古氏の金言集である。『思考の整理学』は「東大・京大 この10年で1番読まれた本」という帯コピーのとおり、知的活動をする上での必読書と言ってもよいベストセラーである。実際に読んだことのある人も多いだろう。
外山氏は、本来的には英文学を専門としながら、日本語や俳句についての評論を多数発表している言語学者・評論家である。そうしたバックグラウンドから、本書には「書くこと」や「読むこと」についての金言も多くピックアップされている。誰にでも理解できるような言葉で書かれたこれらの金言からは、外山氏の文学研究者としての厚い知見のエッセンスを得ることができる。「知れば知るほどバカになる」「謎と疑問は放っておく」「時にはアウトサイダーたれ」「小声でつぶやくと届きやすい」「タコツボを出て雑魚と交わる」など、研究者としての外山氏になじみのない方にも刺さるフレーズが満載だ。
私たちの生活には、言語があふれている。仕事の場では言葉を通じてアイデアを出し合い、SNSではたくさんの文字から他人の考えを摂取する。情報化社会はテクノロジーによってコミュニケーションが発展した世界であり、言葉の重要性は増すばかりだ。本書にまとめられた思考と言語についての考察は、短いゆえに示唆に富む。今だからこそ、「やわらかく考える」ための力になってくれるだろう。