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1.『鬼滅の刃』にも『進撃の巨人』にも、神話ですでに描かれてきた世界観を見出すことができる。
2.現代の「物語の原型は神話に出尽くしていると言っても過言ではない」。しかしそれは作品の良さを毀損するものではなく、むしろこれによって、神話に新たな生命が吹き込まれている。
3.神話では言葉や音が大きな力を持っている。また、女神や、特別な力をもつ女性たちが豊かに活躍する。
4.神話でも現代の作品でも、私たちは、「リアル」な日常世界を疑いながら生きている。
『鬼滅の刃』の鬼はなぜほぼ不死身なのか。「設定」と言ってしまえばそれまでだけれど、そこには神話のなかで脈々と受け継がれてきた、人間の無意識が反映されているのだとしたら。特にゲームでは北欧神話、インドの神話などに出てくる神さまの名前がよく拝借されるけれど、それ以上に深い人類の秘密が隠されているのだとしたら。
本書は、もやもやと気になっていたそうした「裏設定」を明らかにしてくれる、刺激的な一冊だ。
数多くの神話が紹介されているが、どの話も不思議と心惹かれる。不気味なものも、笑えるものも、どちらも愛おしい。意味がわからないと感じる突飛な筋書きも見られるのに、ついついのめり込んでしまう。読み進めるうちに、「もしかして、あのアニメの背景にはこのような構造が隠れているのでは?」と想像も膨らむ。いちいち楽しい本だ。
インドの大叙事詩『マハーバーラタ』で展開されている「真の現実の世界」は、どこかメタバースを想起させる。いまのところメタバースをつくっているのは人間だけれど、メタバースとリアルの境界が失われ、広大な日常空間自体がAIによって自己増殖していったら、そこに生まれる社会は「誰のもの」なのだろう。そんなことまで考えてしまった。
著者は「神話を今も生きているものとして語ってみたい」と書く。したがって要約では、映画やゲームなどに触れているところを中心に紹介した。壮大な神話世界に興味を持った方は、ぜひ本書を手にとってお読みいただきたい。
本書を読めば、よりいきいきと、生産的に働けるようになるだろう。