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  • 老後の資金は足りますか? 老後資金を減らさないためのポイントを解説した1冊

    2022年05月15日
    知る・学ぶ
    黒田順子:講談社BOOK倶楽部
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    これからの生活どうなる?に備える記入式年金生活ビギナーのための家計練習帳
    著者:深田晶恵
    発売日:2022年03月
    発行所:講談社
    価格:1,100円(税込)
    ISBNコード:9784065273081

    そろそろ老後のお金について考えなければと思いつつ、気が滅入るし面倒だし、ということで先延ばしにしていました。いざ考えるにしても、どこから手をつけたらいいのかわからないし。
    ところがこの本は、説明とともに実際に書き込むことができる様々なシート、計算表、家計簿が付いているので、とても取り組みやすくなっています。

    第1章『年金生活になったらどう変わる?』では、「老後資金を減らさないための3つのポイント」を押さえることが大事だと教えてくれます。
    その3つのポイントとは……

    1. 家計の収支を改善して、ストック(手持ち資産)を減らさない
    2. 1年で使えるお金を知る
    3. 病気にかかるお金の心配は「健康保険」を知って解消しよう

     

    【毎月の定期支出と不定期支出を出す】

    まず最初に取り掛かるべきなのは、1年間のお金の収支を出すこと。
    うーん、正直これが面倒くさくて手をつけずにいたのですが、ここでは「年間決算シート」を利用します。

    このシートの特徴は、毎月の生活費の支出を大きく2つに分けていること。

    基本生活費①……公共料金・通信費など「銀行口座引き落とし」
    基本生活費②……食費・日用品など「お財布から出ていくお金」

    「お財布から出ていくお金」は家計簿をつけないとわからないものなので、毎月の支出をきちんと把握する必要がありますが、これなら明細を気にせずひとくくりでまとめられるので楽です。

    そして実は、ここからが重要!!
    この2つに加え、住居費と保険料などは「毎月の定期支出」なので、 これを年金収入でまかない、旅行や冠婚葬祭費等は「不定期支出」として貯蓄から捻出すると、上手なやりくりができるというのです。

     

    【貯蓄切り崩し額の予算を立てる】

    とはいえ、もらえる年金が少ない私の場合、老後は貯金を取り崩すのが必須。
    死ぬ前に貯金が底をつくのではないかという心配があったのですが、1年間に使える金額を試算できる表が載っていました。

    これなら1年間に使える金額がはっきりするので、漠然とした不安が解消されます。

    【医療保険より頼りになる健康保険の高額療養費】
    老後の生活で何が一番心配かというと、医療費です。そのため生命保険に入っているのですが、1度も病気になったことがなく掛け捨てのため、もったいないと思いつつも、何かあったときの保障として払いつづけていました。

    しかし、健康保険の「高額療養費」を申請すれば、かなりまかなえるということがわかりました!!
    この制度は、一定額を超えた分が後日払い戻される制度で、限度額は所得と70歳以上か未満かで変わります。

    また、差額ベッド代を払わなくても良い場合があることがわかりました。
    それは、「大部屋が空いていないので個室に」と病院側の都合で言われた時です。

    詳細はコラムに書かれていますが、知らないと損をする細かい情報『COLUMN 定年後のお金の常識』も、とても役に立ちます。

     

    【退職金運用病に注意】

    第2章は『知っておきたいお金の常識9』で、9つの話が載っています。
    中でも気になったのは、運用に関すること。
    銀行に預けていても目減りするだけだから、資産は運用するべきという話を聞くたびに焦りを感じていましたが、こういう話は金融機関にとって利益となる内容が出回っているため、注意が必要だと警告しています。

    さすが26年もの間、ファイナンシャルプランナーとして数多くの相談を受けてきた著者だからこその話で、資産運用の失敗を避けるコツに、なるほど!! と思いました。

     

    【付録の年金生活者専用家計簿】

    巻末に付いている「年金生活者専用家計簿」も、記入開始日を自由に設定できるなど、長年この仕事に携わっている著者ならではの工夫がいっぱいです。

    「老後にお金に困らない人」とは、
    収入に合わせて支出をコントロールできる人 

    冒頭に書かれている言葉ですが、まずは自分の暮らしを把握し、お金としっかり向きあいながら、安心も手に入れたいと思いました。

    (レビュアー:黒田順子)


    ※本記事は、講談社BOOK倶楽部に2022年4月28日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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