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1.源頼家を補佐する名目で、13人の合議制が誕生した。メンバーの評価軸として、「関東における秩序」「関東の地理」「政治意識」「頼朝をめぐる女性」が設定できる。
2.頼朝は、父・義朝が築いた地盤を利用して、関東全体の武士を従えることができた。鎌倉幕府において文官を重用した頼朝は、先見性を持っていたといえる。
3.頼朝の死後、次第に北条派とそこに属さない者との対立が激化した。反対勢力を一掃した北条氏が、関東一円を自分の勢力下に置くこととなる。
13人の合議制については、大河ドラマでなじみのある方も多いだろう。本書は、著者の独自の視点を交えながら、13人の合議制が生まれた背景やその後の北条氏の台頭について詳しく解説している。平易な文章で理解しやすく、読み進めやすい。13人の合議制について把握することで、大河ドラマを観ている方は、より深く楽しむことができるだろう。そうでなくても、鎌倉から始まる武家社会において、その最初の段階に作り上げられた時代背景は、知っておいて損はないはずだ。
本書を一読すると、関東における武家社会が混乱の中で築かれていったことがよくわかる。試行錯誤の中で生み出された秩序の象徴が13人の合議制であり、13人の合議制を掌握した北条氏が、関東一円を支配することになる。鎌倉幕府といえば源頼朝を思い浮かべる方も多いかもしれないが、頼朝亡き後の鎌倉は明らかに北条氏が時代を動かした。13人の合議制は、源氏を棟梁としながら、武士による政治を実現するために生まれたが、結局は北条氏を躍進させるきっかけとなった。
著者によると、鎌倉幕府とは「頼朝とその仲間たち」だという。この言葉に代表されるように、本書では、時代背景や出来事をシンプルに示す表現が多く、この時代の本質を直感的に理解することができる。歴史を学ぶことは面白い、ということにも気づかせてくれる一冊だ。