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1.ロシアにとってNATO未加盟の国々の中立をいかに保つかが、安全保障上特に重要だった。焦点はベラルーシやグルジア、ウクライナなど6か国だ。
2.今のロシアには、非軍事的手段による戦争が現実に起きているという認識が広まっている。グルジアの「バラ革命」やウクライナの「オレンジ革命」を念頭に、同様の影響がロシアに及ぶのを懸念している。
3.ロシア軍の大演習は、あらゆる軍事紛争が最終的には西側との大規模戦争に行き着くと想定されている。ただ、大国との大規模戦争に直面すれば、兵力規模の小ささやハイテク化の立ち遅れにより、ロシアは劣勢に立たされるだろう。
ロシアによるウクライナへの侵攻が続き、国際情勢がかつてないほど緊迫している。
本書はタイトルの通り、ロシアの軍事について日本人の専門家が書いた一冊だ。出版されたのは2021年5月、今のロシアがなぜこのような行動に出ているか、そのヒントがちりばめられている。予見的な指摘も少なくなかった。
軍事の専門家という観点から、ロシアの国防や外交の文書をつぶさに読み解いているのはもちろん、欧米を中心とした「西側」のロシア専門家の見方を幅広く分析、紹介し、また持論も展開している。
紙幅の関係で紹介しきれないのが残念だが、「演習」に関するロシアの訓練実績を時系列で細かく追い、その内容や狙いの変化を的確に捉えている。軍の強い反発に「驚く」プーチン大統領の様子など、内実が事細かに描写され、実に興味深い。
そのほか、択捉島を「衛星画像サービスで確認」するといった、独自の視点が多々盛り込まれている。「西側」と見られている日本が取るべきスタンスについても示唆に富む。
今、時々刻々と変化する世界情勢を読み解くうえで、視座を高めてくれることは間違いない。