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1.知識から思考が生まれることはほとんどない。知識を集めることよりも、自分の知見を育むことのほうが重要である。
2.純粋すぎるのは問題だ。人生を豊かにするためには少しぐらい雑然としていたほうがいい。
3.朝は金であり、昼と夕方は銀である。ただし朝食後は鉄、昼食後と夕食後は鉛になる。とくに夜10時以降は石だ。夜に作業をすると石頭になりかねない。
4.むやみに愛読書をつくってはならないし、多読を誇ってもならない。何度読んでも発見のある本が3冊もあれば、りっぱな読書人である。
思わずカバンに忍ばせて持ち歩きたくなる本である。
本書は『思考の整理学』で知られる「知の巨人」、外山滋比古氏の金言集だ。これまで外山氏が出版した書籍のエッセンスが、150の言葉に濃縮されている。どれもこちらの発想や思考を刺激するものばかりで、眺めているだけでも十分に楽しい。もちろん頭から通して読んでもおもしろいが、たまたま開いたページから着想を得る、なんて使い方もオススメだ。それもまた外山氏のいうセレンディピティである。
なかでも注目に値するのが、本の使い方についての指摘だ。本書のなかで外山氏は、「本を読むだけになってしまってはならない」と訴える。曰く、本は知識を増やすのには適しているが、代わりにこちらの思考力を奪いかねない。本との付き合い方、向き合い方についても、あらためて考えさせられる。
また外山氏は研究者でありながら、専門家になる弊害についてたびたび言及し、シロウト的な会話のなかにこそクリエイティビティが眠っていることを強調する。新しいアイディアは、異なるものがぶつかりあったときにこそ生じるものだ。気軽になんでも語り合える人がどれぐらいいるかで、その人のクリエイティビティは決まってくるのかもしれない。
本書はあなたに多くの気づきと着想をもたらしてくれる。どうか一口で平らげるのではなく、何度も咀嚼しながらじっくりと味わってほしい。そんな味わい深い一冊である。