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1.著者が提案するのは、「紙1枚の読書法」だ。本の内容をA4用紙1枚のフォーマットにまとめるだけで、本を読めるようになり、考え抜くことができるようになる。さらに、内容を忘れないようになり、その結果人に説明できるようにもなる。
2.インプットのみ、読みっぱなしといった自己完結オンリーの読書には限界がある。なぜなら、知識とは本質的に他者との関係性の中で創造されるからだ。
3.紙1枚の読書術は、「時間」「空間」「人間」の3つの軸の自信を育ててくれる。
読書法をテーマにした本は、すでに多数存在する。しかし、本書によれば、その多くは「読書の達人」によって書かれている。極端にいえば、「古典を読みなさい、以上」というものがほとんどだ。これでは、読書初心者は「自分には古典は無理だった」と挫折し、置いてきぼりにされてしまう。
本書は、読書に苦手意識があったり、自分の読解にいまひとつ自信が持てなかったりする、これから読書に向き合いたい人にも対応した読書術を紹介している。学生時代の国語の授業の習慣からか、私たちはつい、読解には「正解」があるような気がしてしまう。しかし、著者が最初にすすめるのは、自分の目的を中心とした自分中心の読書だ。そこから章を追うごとに、作者の意図を正確に読み取る読書、他者の存在を重視する読書へと移っていく。使うのは、著者独自の「紙1枚」フレームワークだ。
全9章、それぞれ末尾に要点のまとめと、読書本にふさわしくブック・ガイドが載っている。「知識は脳の外=コミュニティ内にある」という著者の主張を裏づけするような『知ってるつもり』をはじめとした、多様な本が紹介されている。著者のフレームワークを活用しながら、次に読みたい本がいくつも見つかるはずだ。
本を読むのが得意だと思われることが多い要約者自身も、もっと読解の精度を上げたいと常に願っている。このレビューを書き終えたら、さっそく紙1枚に取り組んでみたい。同じように読解の力を上げたいと思っている方に、広くおすすめできる一冊だ。