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「子どもの目線」が誌面を作る!中学受験にも役立つ「Newsがわかる」編集長エッセイ

おもに小学生に向けてニュースをわかりやすく解説する月刊誌「Newsがわかる」。ビジュアル満載の親しみやすい誌面で、中学入試にもぴったりと注目を集めています。

読者と向き合うことで見えてくる子どもたちの姿と、時代の変化に合わせた誌面づくりについて、同誌の山根真紀編集長に綴っていただきました。

月刊 News (ニュース) がわかる 2022年 02月号
著者:
発売日:2022年01月15日
発行所:毎日新聞出版
価格:490円(税込)
JANコード:4910034570225

 

子どもの目線で

「Newsがわかる」は、小学生にニュースをかみくだいて解説している月刊誌です。勉強になるけれど、難解に見えないよう、写真やイラスト、図などをたくさん使って誌面づくりをしています。

図書館の児童書コーナーで読まれた形跡のある発売号を見かけたり、小学校の教室で偶然発見したりすると、子どもたちがどんな表情でどのページを読んでくれたのかなと考えてワクワクします。編集部はとても小さいのですが、編集部員それぞれが「小学生だったらどう思うかな?」「こう書いたら伝わるかな?」と考えながら、子どもの目線で世の中を見て、企画、取材、執筆、編集をしています。

子どもたちは世の中をどんなふうに見ているのでしょうか。小学5~6年生になると、身の回りのことと、ニュースで知った遠い世界の出来事を結びつけて考えることができます。大人は「政治」「スポーツ」「経済」などとニュースを分野別に考えがちですが、子どもはもっと自由で、読者の声からは社会で起きているさまざまな出来事に垣根なく目を向けている印象を受けます。

編集部に2021年に寄せられた読者の「今気になること」を紹介すると、「岸田さんがどんな政治をしていくのか」「アフガニスタンのこの先は?」「コロナの中でオリ・パラをやってよかったか」など、なかなか硬派なテーマが並びます。興味を持った特集を尋ねた際に、難しい国際ニュースの解説を挙げた子が多く、驚いたこともありました。

また、読者によるインタビューコーナーには、「教科書は、誰が、どのように作っているのか知りたい」「動物と人間の共生に興味があるのでセラピードッグを取材したい」といった希望が寄せられ、しっかり事前準備をした読者が目をキラキラさせて取材に臨んでくれています。

世の中のいろいろな出来事に目を向けて、考え、行動する、こうした読者に支えられているのは、1999年の創刊当時からのようです。当時の「Newsがわかる」のページをめくると、同じように活発で真剣な子どもたちの姿に出会えます。

創刊時は、前年に導入が決まった「総合的な学習の時間」に副教材として活用してもらえるものをイメージし、小学生用と中学生用の2種類を作っていました。学校の先生方にアドバイザーとして参加してもらい、定期的に編集部と先生方とで会議をしていたそうです。

創刊号のトップ記事は「ニュースの人 西武ライオンズのルーキー・松坂大輔投手(18)」。読者の意見で作るコーナーもあり、当時の小学生からは、「幸せを感じない人へ」「学校5日制、子どもの意見を聞いて」「地雷について調べてみたよ」といったテーマで大人も考えさせられる意見が寄せられています。

創刊7~8年後には読みものへ路線を変更し、表紙や中身を少しずつ変えて今に至っています。「GIGAスクール構想」で1人1台のPC端末導入が進む中、わが家でも子どもたちが連絡帳代わりに使ったり、授業で撮影した動画を見せてくれたりと、PCを扱う姿を見るのが日常になりました。

「Newsがわかる」も紙とデジタルで発行し、公式サイトも始めました。どんな形であっても小学生の関心に応え、広く社会に目を向けるきっかけとなる媒体でありたいと、試行錯誤を続けています。


毎日新聞出版 月刊「Newsがわかる」編集長
山根真紀 YAMANE Maki
毎日新聞、サンデー毎日、毎日小学生新聞を経て2017年に「Newsがわかる」編集部へ。2021年4月から編集長。


(「日販通信」2022年1月号「編集長雑記」より転載)