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1.「ただモノを買う人」から「社会をよくするために消費をする市民」への消費者の変化と、それに合わせた企業の変化を、本書では「意義化する経済」と呼ぶ。
2.企業だけでなく、サプライヤー、顧客、株主、地球環境も含めてステイクホルダーの利益を考え、多くの人が共感できる社会的存在意義を掲げたものが、パーパスである。
3.これからの時代、パーパスを中心としたビジネスモデルを構築した企業こそが若者たちを中心とした消費者に選ばれ、投資資金と優秀な人材を集めて、多くの利益を上げ、成長し続けるようになるだろう。
近年、環境問題やジェンダー、人種差別問題などに対して具体的な意見や態度を表明する企業が増えている。従来、企業の目的は利潤を増やし、株主の利益を高めることとされ、そのためにさまざまなものを犠牲にすることもあった。社会課題に対して取り組むことは、利益に直結しないために無視されるか、利益とは別に、奉仕活動のような形でなされることが多かった。
しかし現在、企業が社会課題に向き合うことは、企業の利益や長期的な存続に直結するものとしてとらえられている。本書によると、その流れを牽引しているのが、ミレニアル世代やZ世代と呼ばれる若者たちだ。本書では、これからの時代、企業の戦略の中心となるべき「パーパス」について、スタートアップ企業からGAFAやソニー、パタゴニアのような大企業まで数多くの事例を挙げながら紹介されている。
この流れを見ると、「日本の企業や社会は変化についていけるだろうか」と心配になるかもしれない。だが現在の日本の大企業も、かつて創業された頃には、創業者の理念や社会的な意義への想い、倫理的な観点をもっていたはずだ。本書で提案されている、経済と倫理が結びついた「意義化する経済」とは、新しい資本主義の形でもあると同時に、企業が社会に存在する意義を根本から問い直すものといえるだろう。