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1.話し合いや会議には、「議論」と「対話」がある。対話は、結論を出すことに固執しない。参加者が互いの異なる意見や主張の背景を深く理解し合うことを大切にする。
2.主体的な合意形成に至るためのポイントは、参加者が「ぜ~んぶ出しきった!」と思うくらい拡散することと、目的を握ることだ。
3.ファシリテーターは「合意的現実レベル」「ドリーミングレベル」「エッセンスレベル」という3つの現実を行き来する。
グラフィックファシリテーションは、絵(形)や線、色といったグラフィックを用いて、話し合いをより豊かで面白いものにするためのものである。言葉にならない参加者の深層の気持ち(本書では「エッセンスレベル」と呼ばれる)を、グラフィックによって浮かび上がらせ、より本質的な対話を実現しようとする方法だ。
ではなぜこの手法にスポットライトが当たっているのか。それは、言葉にならないものや目に見えないものに意味や価値を見出す時代になったからだ。そうしたものはモヤモヤしている。そのモヤモヤに寄り添い、それを図や色で表現しようとするのがグラフィックファシリテーションという試みなのだ。さらにそれは、誰もがもっている「こうしたい」という衝動(アート性)を解き放ち、未来の社会を描き出すアプローチともいえる。その根底には、人はみな生まれながらにアーティストであるという著者の信念がある。
本書を開くと、グラフィックファシリテーションの世界観が直感的に伝わってくるカラーの絵が目に飛びこんでくる。主体的に参加できる場づくり、グラフィックファシリテーション実践のポイント、ファシリテーターのあり方などが、この一冊に凝縮されている。その説明は実にわかりやすく、組織開発の入門書としても画期的な一冊ではないかと思う。
職場の心理的安全性や関係性の質が課題とされるいま、グラフィックファシリテーションの可能性にぜひふれてみていただきたい。