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1.東京藝術大学の美術学部では、入学試験の傾向はなく、本質を問うような問題が出題される。
2.東京藝大以外の美大では、卒業のために必要な単位の4~6割が実技であることが一般的だ。しかし東京藝大では、その割合が7割にものぼる。
3.東京藝大でアートを学んだ人たちは、「理力(ことわりの力)」を備えている。具体的には、「言語と非言語、具象と抽象を網羅する理力」と「好奇心を持ち、問う理力」、そして「熱狂的に没頭できる理力」だ。
芸術分野の思考法をビジネスに活かす「デザイン思考」「アート思考」が知られるようになって、しばらく経った。かつて異分野だった「アート」と「ビジネス」を結びつけた最も有名な人物は、アップルのスティーブ・ジョブズだろう。2007年、ジョブズはiPhoneを発表し、その無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインや直感的に操作できるインターフェイスで世界中を驚かせた。アーティストでもあった彼は、テクノロジーとアートを見事に融合させて、人々の意識を変えたのである。
私たちは今、先の見えない不確かな時代を生きている。社会は目まぐるしく変化し、昨日までの常識が通用しないことすら「当たり前」になっている。誰もが「変わらなきゃ」ともがいている一方で、本書に登場する東京藝術大学出身のあるアーティストは「やることは一切、変わっていない」という。別の藝大出身者も「結果の見通しを立てず、永遠を受け入れる」という言葉を残している。彼らは周りの環境が変わっても、自らの意志に基づき、ブレることなく自身の“仕事”をし続けている。現実を受け入れつつ、常に「自分への問い」を発しながら過ごしているのである。
東京藝術大学は芸術分野の最高学府であると同時に、特に美術学部は入学者の偏差値・学歴が不揃いで、浪人経験者や社会人入学する人も多いユニークな学校だ。本書を通して、日々「新たな価値を創り上げる」ことに情熱を傾けている藝大生の姿勢を知れば、生きるヒントが得られることだろう。彼らの「究極の思考」を覗いてみてはいかがだろうか。