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1.日常生活の中で、自分が悪いわけではないのに丸め込まれてしまった気がして、モヤモヤしたことはないだろうか。本書の目的は、言い返せないような「ずるい言葉」を相手が使っていることを見抜いて、正しく言い返す手がかりをお伝えすることだ。
2.「あなたのためを思って言ってるんだよ」という言葉は、なにが「あなた」にいいのかを説明できないのに、他人の行動をしばるために利用されることがある。
3.「どちらの側にも問題があるんじゃないの?」という言葉の裏には、「なにもせず正しい人になりたい」という感情が隠れているのかもしれない。
よく聞くせりふだけれど、言われるとなんだかモヤモヤする。だけど、そのモヤモヤをうまく説明できなくて、結局丸め込まれてしまう。そんな経験はないだろうか。本書は、そんな「ずるい言葉」に正しく言い返すための、社会学者の著者による処方箋だ。
要約者は「いちいち取り合っていたらそいつと同じレベルになっちゃうよ」という「ずるい言葉」の解説に興味を引かれた。私が中南米を旅していたとき、現地の人に「Chino(スペイン語で中国人もしくはアジア人を意味する)」とニヤニヤしながら言われたことがあった。後で日本にいる友人に「何か言い返した方が良かったかな?」と話すと、「相手をしたらそいつと同じレベルになるよ」と言われた。これにモヤモヤしたのだ。しかし、そのモヤモヤがどこから来ているのか説明できなかった。
これに対して著者は、からかいに対する抗議はからかいと同じではない、「いちいち取り合う」ことは当然だし、抗議する人を「いちいち支えること」も必要である、と説明している。「そうだ、これがモヤモヤの正体だったのだ」と思わず膝を打った。
このように、本書はよく聞く「ずるい言葉」に対して、誠実な反論を加え、モヤモヤを解消してくれる。それと同時に、「ああ、自分もずるい言葉を使っている」とギクリともさせられた。「ずるい言葉」を超えて、もっと「正しく」ありたいと願うすべての人に、一読していただきたい内容だ。