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1.本書は、著者が極めて広範なテーマで生み出してきた数十のバージョンの「シン・ニホン」をひとつなぎに俯瞰したものを描く試みである。
2.現在終わりつつあるデータ×AIの革新の「第一フェーズ」に乗り遅れた日本の勝ち筋は、「第二フェーズ」「第三フェーズ」にある。
3.未来を創るのは若者だ。時代に合わせて教育を刷新し、他人とは異なる軸で勝負する、「異人」をうまく育て上げることが重要だ。
4.未来を創るための仕掛けとして、著者は「風の谷を創る」という運動論を進めている。
日本はもう終わった――失われた30年の間に幾度ともなく口にされてきたこの言葉は、多くの日本人の心に陰を落としている。無力感が蔓延するなかで、この『シン・ニホン』についたコピーは「この国は、もう一度立ち上がれる」だ。本書は「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」の総合グランプリおよび政治・経済部門賞を受賞した。多くの読者が、このような本を待ち望んでいたのだろう。
著者である安宅和人氏は、感情論ではなく、事実とデータに即した分析をもとに、世界とこの国の現状の苦しさを冷静に見つめる。そして、単なる悲観論を「逃げだ」と喝破し、未来を自ら目指し創るために行動を続けている。
たとえば、日本の国家予算を分析すると、金はあるのに未来への投資である教育や科学技術の予算が削られていることがわかる。日本の科学技術の予算は圧倒的に不足しており、主要国で唯一、博士号の取得にまとまった費用がかかる国だ。米国の主要大学と大きな差を生んでいる収入は投資からの運用益であることを踏まえ、著者は本書で国家レベルの基金システムの設立を提言した。理想を語っても現実は変わらないと思う人もいるかもしれない。しかし、本書の刊行後の2020年12月、10兆円規模を目指す大学ファンド創設が盛り込まれた緊急経済対策が閣議決定した。まさに、「未来を創る」を体現している。
著者の描くこの国の状況は厳しい。それでも、著者の眼差しは、日本への愛に溢れている。希望を灯す一冊を手に、あなたもいっしょに未来を創る一人になってほしい。
・『イシューからはじめよ』著者9年ぶりの単著!日本の変革・再生に向けた壮大な試論『シン・ニホン』