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「大人の学び直し」ニーズが高まっているいま、取り上げられることの多いテーマのひとつが「語彙力」。関連書籍も多く出されていますが、そのなかでも西東社編集部編『今日から役に立つ!使える「語彙力」2726』が売れています。
本体750円と手に取りやすい廉価ながら、同テーマの本よりも多い2,726語を収録。敬語、ビジネス、四字熟語といった定番からカタカナ語、比喩、大和言葉など、さまざまなシチュエーションですぐに使える言葉を集めています。刊行から2年以上が経ちましたが、書店店頭での展開も後押しし、中高年読者を中心に10万部の大ヒット商品になっています。
そんな本書の魅力について、同書を担当した編集部統括部長の今井真志さん、営業局企画促進部長の森竹雄介さんにお話を聞きました。
(写真左)西東社 執行役員 編集部統括部長 今井真志さん
(写真右)西東社 営業局 企画促進部長 森竹雄介さん
――本書を企画されたきっかけについて教えてください。
森竹 もともと弊社では、人文書・ビジネス書でライトに読めて、かつ価格を抑えたシリーズを展開しており、本書『今日から役に立つ!使える「語彙力」2726』(以下、「語彙力」)もそのうちの1冊として発売しました。
第1弾の『必ず出会える!人生を変える言葉2000』という名言集が初年度で3万部売れました(現在、特装版を発売中)。そこで「これはいける」となり、『常識の「国語力」2600』『常識の「漢字力」3200』『使える「雑談力」1500』『ビジネス名言550』『元気が出る言葉366日』『常識の「社会科力」1354』『常識の「算数力」200』『ホンネの金言1240』とラインアップを広げてきました。そうしたなかで類書分析を重ねた結果、次のテーマは語彙力がよいのではないかと考えました。
今井 語彙力については、明治大学の齋藤孝先生が書かれた『語彙力こそが教養である』『大人の語彙力ノート 誰からも「できる!」と思われる』などすでにベストセラーになっている本もありました。一番難しかったのは、本体750円の価格設定で約400ページの本をつくることのコスト管理です。幸い、コンビニエンスストアでも同時期に販売することで初版2万部からスタートし、初年度から利益を出すことができました。
――日本語の語彙の特徴はどのような点にありますか。
今井 日本語は世界でもっとも言葉の数が多い言語のひとつで、表現力が豊かです。とくに漢字、ひらがな、カタカナ、外来語を取り入れてきたので、昔から語彙は増え続けると同時に、揺れ続けてきました。日本語はその揺れを許容します。
昨今でいえば「ソーシャルディスタンス(社会的距離)」がそうでしょうが、英語圏を除いていきなり(日常会話などで)使用し始めるのは日本くらいではないですか。そのように、日本語の柔軟性にはおもしろいところがあります。
――本の編集・制作で注意したところはどこですか。
今井 カバーの色使いにしても装丁にしても、語彙力という堅いイメージをいかにカジュアルにするかですね。そして「すぐに使える」ことを意識しました。細かいところをいえば、本よりもカバーの高さを1㎜小さく作っています。棚から本を手に取るときに、上部はどうしても破れがちです。そこで、カバーの下にちらりと見える本体の色との配色にもこだわるなど、意匠を凝らしています。
▼カバーのブルーと本体の紫のコントラストが美しい
収録する語彙も、きりのいい2000や2500にしようかとも思いましたが、類書をみると、タイトルに端数を使った本が売れている傾向がありました。意外と端数のほうが目を惹くのかもしれないと思い、あえて切りの悪い数字にしています。
また、機械的にレイアウトに流し込んだのではく、それぞれの章ごとに読みやすさを意識し、例文や単語解説を充実させるなど作りにも工夫を凝らしています。
▼言葉にまつわる歴史・文化も楽しめるような幅広いラインナップ
▼日常会話で頻出する表現を厳選して、「いま気になる言葉」を網羅
――これまでの販売実績はどれくらいですか。
森竹 初年度に書店では1万2,000部、コンビニエンスストアで2万部売れました。シリーズのなかでも非常に高水準の売行きです。刊行1年たった頃に大きく伸びるきっかけがあり、現在の刷り部数は10万部に。弊社で今、一番売れている本になりました。
――大きく販売が伸びるきっかけとはどのようなことだったのですか。
森竹 本書は、束の厚さが4.5㎝ありますので、刊行当初から、お客様や書店員さんからも「随分とコスパがいい本ですね」との声をいただいていました。ただ初速は良好だったのですが、ビジネス書はライバルが多く、そのペースが定着するところまではいきませんでした。
刊行から1年たった頃に未来屋書店各務原店さんから「多面展開できるいいアイテムはないか」とご相談があった際に本書をお勧めしたところ、10面以上で展開していただき、初月から50~60冊の売上がありました。
そこからチェーン全体での拡売をご提案し、TSUTAYAさんなどでもお取り組みいただき、そこからはまさに倍々ペースという感じで実績が上がってきました。
▼未来屋書店新瑞橋店での店頭展開の様子。シリーズで購入する読者も多いため、店頭でもラインアップを揃えた展開がなされている
――読者層と売れている書店に特徴はありますか。
森竹 40~60歳の男女が読者層の中心です。ターミナルにある大型書店、駅ナカや駅ビル、郊外ロードサイドからインショップまで、いろいろなロケーションの書店さんで売上が伸びています。ジャンルではビジネスや雑学コーナーに置かれていることが多いですね。
――語彙力というテーマは、昨今、盛んな大人の学び直しにもぴったり合いますね。
今井 ネットでこの本のレビューなどを見ますと、「正しい言葉を知りたい」「きれいな言葉をもう一度学んでみたい」という読者ニーズがうかがえます。また、教養として、あるいはコミュニケーションの実用としての両面で読まれているようです。
一方、スマホで調べ物をすることの多い若い層にはそこまでの訴求力はないかもしれません。ただ、1つの言葉をさっと調べることはスマホでもできますが、一瞬で全体像を見ることができるという面では書籍のほうが勝っています。
2726語を調べるのは大変でしたが、そこに価値があると認めてもらえると本は売れるのだと思います。
森竹 この本の、ざっとめくったときの検索性、網羅性の高さは今のスマホ、タブレットにはない部分です。紙の書籍の強みを集めてできたのが、この「語彙力」と言えます。
――これからさらにどのように販売展開をしていきますか。
森竹 全国にはまだまだご提案できていない店舗もあります。本書を店頭で展開していただいたときの「爆発力」は実証済みですので、「語彙力に関する本は以前に拡売したから」という店舗の方も再度、拡販をご検討いただければ嬉しいです。
今井 象の帯が目印の、店頭でパッと目につきやすい表紙にしており、イラストや写真での解説もふんだんに入れています。内容の充実度とコスパの良さを、ぜひ店頭で多くの方に確かめていただきたきですね。