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10月5日(月)から10月12日(月)にかけて、2020年ノーベル賞が発表されました。6日(火)には、スティーヴン・ホーキングさんとともにブラックホールを研究していたロジャー・ペンローズさんがノーベル物理学賞を受賞。
8日(木)には、小川洋子さん、多和田葉子さんと日本人の受賞が期待された「文学賞」の結果が発表されました。
その分野で大きな功績を残した人に贈られる「ノーベル賞」。この賞の受賞者を多数輩出している大学の1つが“MIT”ことマサチューセッツ工科大学です。
MITは、科学(Science)・技術(Technology)・工学(Engineering)・数学(Mathematics)、いわゆるSTEM教育を重視している世界最高峰の教育機関として知られています。
“Maker Education”(創り手のための教育)、“Learning by Doing”(実践を通して学ぶ)といった教育理念のもと、世界中から集まった超エリート同士で切磋琢磨することで、世界最高峰の「創造する力」を持った研究者が育まれると言われています。
日本の生物学者・利根川進さんもMITで研究をしていた1人。MITの生物学部教授を務め、1987年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。利根川さんのようにMITで研究し、ノーベル賞を受賞した人は90名以上! この数は、全世界の大学の中でも上位10校に入ります。
STEM教育を重視しながら、ノーベル賞受賞者を多数輩出しているMITですが、実は人文学や芸術科目にも力を入れています。
中でも、学生の人気を集めているのは「音楽」です。MITと音楽の関わりは深く、学校が創立した100年後には、音楽学科の前身である音楽グループが結成され、1890年代には学内オーケストラが結成されています。現在、新入生の内50%が何らかの音楽経験があり、約4割の学生が音楽科目を履修しています。
音の伝わり方など、音楽と科学/工学は密接な関係にあることが知られていますが、これだけの学生たちが大学で音楽を学ぶとは驚きです。
そんなMITの「音楽の授業」にスポットを当てた『MIT マサチューセッツ工科大学 音楽の授業 ~世界最高峰の「創造する力」の伸ばし方~』では、教授や学生にインタビューを交えながら、カリキュラムの中身や音楽を学ぶ意味について追っていきます。
芸術科目は、STEM教育とは反対に位置し、必ずしも“役に立つ”学問ではないかもしれません。しかし、そのSTEM教育に“意味”を与え、不安定で複雑な現代社会に“喜び”や“楽しさ”を見出すためには、人文知や芸術は必要不可欠です。
世界最高峰の科学の「推進力」に、芸術の持つ「想像力」が掛け合わさるとどうなるか。日本では“役に立つ”学問が推奨されつつある中で、STEMにArts(芸術)を加えた「STEAM教育」の必要性も問われています。
芸術や人文学といった学問の可能性を再考するきっかけとなる1冊です。