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『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21 Lessons』など、ベストセラーを次々に生み出す歴史家ユヴァル・ノア・ハラリさんの新刊『緊急提言 パンデミック』が10月8日(木)に発売されました。
本書には、「TIME」「The Guardian」といったアメリカ・イギリスのメディアに掲載された3つの寄稿文と、NHKで放送されたインタビューの再編集版を収録。コロナ禍に苦しむ私たちに対する、ハラリさんの提言集となっています。
本書に収録されているのは、いずれも今年の3月から4月、新型コロナウイルスが最初に世界中で猛威を奮った時期の文章・インタビューです。
この中でハラリさんが繰り返し訴えているのは、「グローバルな協調こそが、新型コロナウイルスに打ち勝つための重要な方策」だということです。
歴史上、人類はさまざまなウイルスの脅威に晒されてきました。現代のような移動手段がない中世でさえ各地でペストが大流行し、多くの人命が失われました。緊急事態宣言を出し、自分の国だけを守っても、ほかの国で感染者が出てしまっては、ウイルスの侵入を防ぐことは不可能です。
必要なのは、適切な医療スタッフと科学的情報を、グローバルに行き渡らせることだとハラリさんは述べます。そのために、国際的な信頼と協調が欠かせないのです。
しかしながら、この提言がどこまで実現されたでしょうか。
新型コロナウイルスの広まりを受け、各国は他国に責任をなすりつけ合い、情報統制まで行なっていました。
政府からの監視が強まる一方、国民へのアピールに事欠かない右派ポピュリズムが台頭し、外国人への嫌悪感情が増大しています。
コロナ禍において、私たちが憎悪、強欲、無知に流されず、思いやりや叡智を選び取ることで、ポストコロナの時代がより良いものになるとハラリさんは述べます。
半年前の提言が、いまだに有効だということは嘆かわしいですが、まだ遅くはありません。
分断ではなく協調を。ハラリさんの言葉はいたってシンプルです。コロナ禍を真の意味で乗り越えるため、私たちができることを考えるきっかけとなる一冊です。
・『サピエンス全史』著者の最新刊『21 Lessons』が発売!人類の「今」を考える21の問いかけ