• fluct

  • キレイごとじゃ刺さらない。人の心のツボを押さえる「悪魔の法則」【総合3.8】

    2020年09月06日
    知る・学ぶ
    本の要約サイト flier(フライヤー)
    Pocket

    人は悪魔に熱狂する
    著者:松本健太郎(データサイエンス)
    発売日:2020年07月
    発行所:毎日新聞出版
    価格:1,320円(税込)
    ISBNコード:9784620326405

     

    『人は悪魔に熱狂する』の要点

    1.人間は、意思決定にバイアスが生じることで、合理的に考えれば選ばない選択肢を拾ってしまう。

    2.人間には欲求にまみれた悪の側面が潜んでいるため、アンケートなどで客観的に見えるデータを収集したとしても、正しい判断に向けてそれをうまく使えない場合がある。

    3.日本人が嫌う怠惰こそがイノベーションを生み出す原動力となることがある。一方でイノベーションは、過剰に期待されることで過大な評価を受けてしまうこともある。

    4.正しい判断を行なうためには、正しく見えるデータであっても疑う姿勢をもつことが求められる。

     

    『人は悪魔に熱狂する』レビュー

    本書の著者はデータサイエンティストだ。ビッグデータのような大量のデータの分析を専門とする職業である。その立場にありながらデータに対して疑問を呈していることに、最初は意外性を感じた。しかし読み進めていくと、データを過信するあまり見えなくなる人間の「悪」の側面を、行動経済学の理論を使って解きほぐそうとしていることがわかる。常にデータに接しているデータサイエンティストだからこそ、データそのものでは十分に露わにできない人間の本質に、自然と目を向けるようになったのだろう。

    行動経済学は、人間の心理に焦点をあてて経済的な事象を説明する学問分野だ。従来の経済学では、「神の見えざる手」に代表されるように、人間は合理的に行動することを前提に置く。行動経済学では逆に、理屈や損得勘定だけでは説明できないような誤った行動をとる、人間の非合理性を前提としている。人間がそうして様々なバイアスにさらされる原因を著者は「煩悩」に求めているが、説得力の高い説明によってその根拠を示している。

    新たな商品やサービスを世に送り出す際、「合理的な判断をする人間」を前提にしているようでは、熱狂は生まれない。それではヒット商品を送り出すことは難しい。すでに、便利で豊かな生活を享受している私たちを熱狂させるためには、人間が持つ「悪」を刺激する必要があるのだ。消費者行動が多様化しているうえに、変化が急速であるという困難な時代において、行動経済学の重要性は増している。本書を一読することで、その基礎的な知識を得ることができるだろう。

    『人は悪魔に熱狂する』のもっと詳しい要約はこちらで公開中! 〉〉

     

    『人は悪魔に熱狂する』が気になる方におすすめ

    世界最前線の研究でわかる!スゴい行動経済学
    著者:橋本之克
    発売日:2020年01月
    発行所:総合法令出版
    価格:1,430円(税込)
    ISBNコード:9784862807205

     




    タグ
    Pocket

  • GoogleAd:SP記事下

  • GoogleAd:007

  • ページの先頭に戻る